“水の上を走る”ゴルフや“ロング版”ゴルフも展示! 独ウォルフスブルグで開催されたVWゴルフGTIの祭典「GTIフェスタ」が面白い

40年以上の歴史があるゴルフGTIの祭典「GTIミーティング」が2025年は「GTIフェスタ」と名前を変え、VWのお膝元であるドイツ・ウォルフスブルグで開催されました。どんなイベントだったのでしょうか。

展示車の多くはVWゴルフのカスタマイズドカー

 フォルクスワーゲン「ゴルフGTI」のためのファンクラブ・イベントとして40年以上にわたって開催されてきた「GTIミーティング」が、2024年の今年は「GTIフェスタ」と名前を変え、フォルクスワーゲンのお膝元であるドイツ・ウォルフスブルグで実施されました。

VWのお膝元、ドイツ・ウォルフスブルグで開催された「GTIフェスタ」

VWのお膝元、ドイツ・ウォルフスブルグで開催された「GTIフェスタ」

 伝統的にオーストリアのヴェルター湖周辺で開催されてきたGTIミーティングは、参加者が急増して社会現象を巻き起こしていたほか、新型コロナウィルス感染症の影響もあって地元自治体が大規模イベントの実施を禁止する事態を招いています。

 ところが、2022年にはイベント自体は中止されていたにもかかわらず、およそ5000台の車両が自主的に集結。これを受けて警察が約3700件もの取り締まりを行うという騒ぎとなりました。

 つまり、ヴェルター湖周辺でのGTIミーティングはもはや諦めざるを得ない状況に追い込まれたのです。

 そこに救いの手を差し伸べたのが、ゴルフGTIの生みの親であるフォルクスワーゲンでした。

 同社は、これまでGTIミーティングを主催してきたファンクラブなどと連携。場所をウォルフスブルグに移すとともに、名前をGTIフェスタと改め、自らの手でイベントを執り行ったのです。

 その第1回となった今年は、サッカー場であるフォルクスワーゲン・アリーナ周辺に700台以上のゴルフGTIやゴルフRが展示されたほか、会場周辺の駐車場には2500台もの車両が集まり、イベントを盛り上げました。

 ちなみに、展示車の多くはいわゆるカスタマイズドカーで、車高を極端に下げたり、ワイドタイヤに履き替えた車両を多く見かけました。いっぽうで、日本のカスタマイズドカーのようにエアロパーツを取り付けているのは少数派で、“鬼キャン”も目にしませんでした。

 それよりもエンジンルーム内をピカピカに磨き上げる「メカ・オタク」的なカスタマイズドカーを多く見かけたのは、いかにもドイツらしいといえるでしょう。

GTIフェスタで展示された、ゴルフのストレッチモデル

GTIフェスタで展示された、ゴルフのストレッチモデル

 さらには水上を走れるゴルフや、ミッドシップ化したりストレッチリムジンに改造したゴルフも展示されていて、なかなか見応えがありました。

登場したVW改良新型「ゴルフ8.5」の乗り味とは

 GTIフェスタの開催に先立ち、フォルクスワーゲンはゴルフのフェイスリフトを実施しました。つまり、ゴルフ8の改良版である“ゴルフ8.5”の登場です。

フェイスリフトされた改良新型「ゴルフ」にも試乗した

フェイスリフトされた改良新型「ゴルフ」にも試乗した

 その内容としては、ヘッドライト周りのデザインが見直されるとともにMIB4と呼ばれる最新のインフォテイメント・システムを装備。さらにはパワートレインの見直しなどが挙げられます。

 このうち、インフォテイメントに関しては、すでにリポートした新型ティグアンや新型パサートと共通の、大型タッチディスプレイを採用したタイプに一新。従来型よりも視認性や操作性が大幅に向上していました。

 今回、私が試乗したのは、1.5リッター・ガソリンエンジンにマイルドハイブリッドシステムを組み合わせた1.5 eTSIと呼ばれるモデルの116ps版。このほか、同型式のパワートレインで150psを発揮するグレードもありますが、ゴルフ8でデビューした1.0 eTSIはラインナップから落ちたようです。

 さらに、本国仕様としてはプラグインハイブリッド、ガソリンターボエンジン、ディーゼルターボエンジンなど幅広いタイプのパワートレインが用意されています。

 マイルドハイブリッドを装備した1.5リッター・エンジンの反応はとても自然なものでした。ゴルフ8がデビューした当初は、特に1.0 eTSIを中心として「モーター感が強い」印象を受けましたが、新型はいかにもエンジンで走っている感触が強く、誰にとっても違和感なくドライブできるように感じました。

 いっぽうで、乗り心地は劇的に進化していました。

 私はデビュー当時からゴルフ8の乗り心地に疑問を抱いていました。

 もともとゴルフといえば、しなやかな足回りが路面からのショックを巧みに吸収し、ボディを常にフラットに保つ安定感溢れる走りが特徴でしたが、ゴルフ8は足回りが少し突っ張ったような感触だったり、軽くポンポンと跳ねるような動きを示していたのが気になりました。

 とりわけ、私が強く違和感を覚えたのは、強いショックを受けたときに足回り周辺が軽くブルブルっと微振動するような振る舞いを見せたこと。先日、フォルクスワーゲンの技術者と議論したところ、これはホイールコントロールと呼ばれる現象で、ゴルフ8では特に省燃費タイヤの装着によって振動が顕著になったとの説明を受けました。

 しかし、ゴルフ8.5ではこの微振動がほぼ完全に消え去っていたのです。おかげでゴルフらしいクォリティ感がはっきりを認められるようになりました。いっぽう、軽く跳ねるような傾向は多少残っていますが、初期型に比べると落ち着きを取り戻し、私が考えるゴルフ本来の味が帰ってきたような気がしました。

 GTIフェスタに参加したフォルクスワーゲンの首脳陣は、次期型ゴルフがGTIを含めてEVになるとの見通しを明らかにしていました。

 その意味でいえば、ゴルフ8.5はエンジンを積んだ最後のゴルフとなる可能性があります。今回のマイナーチェンジには、エンジン搭載ゴルフの最後の花道を飾ろうとする、ウォルフスブルグの技術者たちの強い愛情と誇りが込められているように思えました。

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