「カローラ」から3列シートSUVまで多彩な“防弾仕様”を選択可能! ブラジルのトヨタはなぜ「大衆車にも安全性」を提供するのか?

日本では馴染みの薄い防弾仕様車。高級車をベースとするのが一般的ですが、ブラジルトヨタが設定している防弾仕様は、大衆車の「カローラ」から3列シートSUVまで、多彩なモデルから選べます。現地の提携業者に委託するオプションですが、まさか「カローラ」で防弾仕様を選べるとは……驚きです。

新車はもちろん中古車も防弾仕様に変更可能

 日本に住んでいると、防弾仕様の車両を見かける機会はほとんどありません。有名なところでは、総理大臣専用車、警護するSP車両(総理大臣車が壊れた際に用いる予備車の役割も担う)、一部の機動隊車両などでしょう。

ブラジルで販売されているトヨタ「SW4」防弾仕様の説明動画(C)Youtube『ComprecarTV』

ブラジルで販売されているトヨタ「SW4」防弾仕様の説明動画(C)Youtube『ComprecarTV』

 一般的に“VIP”送迎車両になるため、防弾仕様車はカテゴリーを問わず高級車がベースになりがちです。実際、ドイツの高級車メーカー御三家は、本国ではいわゆる“上級”モデルに防弾仕様車のラインナップが充実しています。

 そんななか、ブラジルから気になる情報が入ってきました。なんとブラジルトヨタが、「カローラセダン」、「カローラクロス」、「ハイラックス」、そして他の国では「フォーチュナー」と呼ばれる「SW4」(「ハイラックス」のSUV版)など、非高級車にて防弾仕様車の提供を始めたのです。

 もっとも、ブラジルトヨタが自前で防弾仕様化するのではなく、現地の提携業者に委託するオプションです。そのため、2020年以降に生産された中古車も、事前チェックで適合しさえすれば防弾仕様化することができるそうです。

 VIPでなくとも極悪な犯罪に巻き込まれる可能性がある国、ということなのでしょうか、それとも、あえて高級車に乗らず目立たぬようにするVIPがいる、ということなのでしょうか……いずれにせよ、大衆車で防弾仕様のオプションを選べるのは、世界的に見ても珍しいことでしょう。

●オプションで保証までついてくる

 ブラジルトヨタが提供する防弾仕様車。その製作工程は、大まかにいってまず内装を外し、ケブラーなどの補強材をボディ随所に接着。そして防弾ガラスの装着……などです。

 ぱっと見、防弾仕様か否かを見分けるポイントは、窓の縁の“黒い部分”が太いか否か。それにしても、まさか「カローラ」が防弾仕様になっているとは、普通は思いつきませんよね。

 気になるオプション価格は明らかになっていませんが、防弾仕様の施行には5年、防弾仕様にする素材には10年の保証が付帯されるそうです。

 2023年、警視庁が認知している日本における殺人事件は912件。対するブラジルは3万9500件だったそうです。ブラジルの人口は日本の約2倍ですが、殺人事件の件数は43倍だったんですね!

 そうした状況下だけに、人々がクルマに安全を求めるのも無理はありません。

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