トヨタが「新・レビン」発売!? 「ハチロクじゃない…」 謎の4ドアセダン! 販売される中国の現状

実は中国では現在もトヨタ「レビン」が販売されています。どういうことなのでしょうか。

 「レビン」と言えばかつて存在したトヨタ「カローラ」のスポーツモデル「カローラレビン」が一般的です。

 実は中国では現在も「レビン」が販売されています。

 いったいどのようなクルマなのでしょうか。

え? ハチロクじゃない? 「レビン」とは

え? ハチロクじゃない? 「レビン」とは

 1972年に誕生した「カローラレビン」は当時販売されていた2代目カローラに、セリカ由来の2T-G型1.6リッター直列4気筒エンジンを搭載させた「スポーツモデル」として開発されました。

「稲妻」を意味する車名はその名の通り、カローラにおける「SL」や「SR」といった既存のスポーツグレードよりも刺激的な走りを提供し、プロ・アマ問わず、さまざまなモータースポーツの場で活躍しました。

 その後、数回のフルモデルチェンジを経ていますが、中でも最も有名なのは4代目でしょう。

 4A-GEU型1.6リッター直列4気筒エンジンを搭載する「GT」系グレードはその型式「AE86」から「ハチロク」として知られ、姉妹車の「スプリンタートレノ」とともに当時はラリーやダートトライヤルで活躍、後年はドリフト用マシンとしての人気に火がつきました。

 4代目モデルはカローラレビンにとって最後の後輪駆動モデルとなり、1987年に登場した5代目モデル(AE91/AE92)からは前輪駆動となりました。

 その後、1991年登場の通称「トイチ(AE100/AE101)」や、1995年登場の通称「ピンゾロ(AE110/AE111)」へとフルモデルチェンジを経て、2000年にその28年にも及ぶ歴史に幕を下ろしました。

 カローラレビンとしては終わったレビンの名前ですが、その14年後の2014年に新たな「レビン」が中国で発表されました。

 2014年の北京モーターショーにて、広州汽車との合弁会社「広汽トヨタ」は新型「レビン」をお披露目しました。

 新たに生まれ変わったレビンは11代目カローラの姉妹車として誕生し、同年7月に発売されました。

 トヨタやホンダなどの中国に複数の合弁会社を持っている自動車メーカーは、ひとつのモデルに異なるデザインと車名を与え、姉妹車としてそれぞれの合弁会社からリリースすることが一般的です。

 レビンの場合は、第一汽車との合弁会社「一汽トヨタ」で製造・販売されるのが「カローラ」で、もうひとつの合弁会社である「広汽トヨタ」が「レビン」を担当する形になります。

「カローラ/レビン」以外にも、「アリオン/レビンGT」、「イゾア/C-HR」、「カローラクロス/フロントランダー」、「RAV4/ワイルドランダー」、「ハリアー/ヴェンザ」。

「クラウンクルーガー/ハイランダー」、「クラウンヴェルファイア/アルファード」「グランビア/シエナ」などの車種が、それぞれ一汽トヨタと広汽トヨタで現在販売されています。

 広汽トヨタから登場したレビンは一汽トヨタのカローラと比較し、より細くてシャープなグリルを基調とした若々しいフロントマスクが目を引きます。

 パワートレインやボディの基本的な部分は同一で、大きな違いはエクステリアにとどまります。

 広汽トヨタの担当するモデルは基本的にレビン以外でもどれもスポーティでアクティブな印象を持つのに対し、一汽トヨタでは保守的でプレミアム志向なのを特徴としています。

 レビンは登場当初からヒットを記録し、毎月1万台から1万5000台を販売しました。

 ピーク時の2019年から2021年には2万台を突破する月も珍しくなく、広汽トヨタにおけるベストセラー車種となりました。

 また、2018年4月に開催された北京モーターショー2018では、8ZR-FXE型1.8リッター直列4気筒エンジンに容量10.5 kWhのバッテリーを組み合わせたプラグインハイブリッド(PHEV)モデルも発表されます。

 通常モデルと比べてより大型化されたブラックグリルは新鮮さを与えたものの、同年11月にレビンはフルモデルチェンジを実施、先代モデルをベースとするレビン PHEVは古臭い印象を持ちながら市場へ投入されました。

 通常のレビンは12代目カローラ、PHEVモデルは11代目カローラという新旧モデルが併売される状況下でレビン PHEVは振るわず、月間販売台数は500台前後と低迷、2022年にその販売を終了しました。

 12代目カローラをベースとするレビンでは、日本でお馴染みの顔に加え、北米市場のスポーツグレード「SE」「XSE」で採用されているスポーティな顔の2種類を用意しています。

 一方でカローラの中国仕様車では中国独自の保守的なフロントマスクを持ち、カローラとレビンの間でキャラクターの差別化が図られています。

 そんなレビンですが、かつては広汽トヨタで最も売れている車種であったものの、現在は全ラインナップの中で5位ほどにまで転落してしまいました。

 これには「フロントランダー(カローラクロスの姉妹車)」や「ワイルドランダー(RAV4の姉妹車)」、「カムリ」、「シエナ」といった同じトヨタ内の後発車種が人気であることに加え、コンパクトセダン市場全体でより安価なBYD製PHEVが台頭してきていることが影響していると見られます。

 2024年6月ではレビンが4643台、カローラが8870台を販売しましたが、かつての全盛期に比べると減少傾向にあります。

 質の良い中国メーカー車種が猛威を振るう中国市場において、いかに販売を持続させるかが直近の課題となるでしょう。

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