“行方不明”だったランボルギーニ「ミウラP400S」がオークションに！ “一度もレストアしていない事実”は「価格高騰の付加価値」になったか？

1980年代半ばからつつましやかに自宅のリビングルームに動態保存されてきたというランボルギーニ「ミウラ」がオークションに出品され、注目を集めています。「一度もレストアされていない」このモデル、果たしていくらで取り引きされたのでしょうか？

40年以上もオーナーの自宅リビングルームで動態保存

　この夏、アメリカのヒストリックカーイベント「モントレー カーウィーク」と併催されたGooding＆Companyのオークションに、ワケありのランボルギーニ「ミウラP400S」が出品され、話題を集めました。果たしてどんな車両なのでしょうか？

　日本の自動車業界でも、“バーンファイド”という言葉がようやく定着し始めています。バーン（Barn）とは納屋を意味する言葉。納屋や倉庫などに長期間保存されていた車両が発見され、日の光を浴びることを指しています。

　しかし、今回、オークションに出品された「ミウラP400S」は、“バーンファイド”ならぬ“リビングルームファインド”。そう、オーナーの自宅のリビングルームに長期間保管されていた車両なのです。

　Gooding＆Companyのオークションに出品されたこのワケありのランボルギーニ「ミウラP400S」は、走行距離4万2000km強、シャシー番号4614、エンジン番号は工場出荷時記録とマッチングする30531、そしてベルトーネボディ番号620という代物です。

　この手のスーパーカーは、エンスージアストによってアーカイブがつくられるものですが、長年、シャシー番号4614は「ゆくえ知れず」として認知されてきました。

　当該車両は1970年7月に完成し、イタリアはトリノにある正規ディーラー・Lamborautoを通じて1番目のオーナーの手に渡ったそうです。

　付属していたイタリア自動車クラブの書類によると、ファーストオーナーはマリーナ・ペドラッツィという人物だった模様。その後、同じディーラーを通じて、1972年にピエトロ・アダモ、1973年にルッジェロ・ルチアーノという人物の手に渡った履歴が残っています。

　1980年代初頭、当該車両はアメリカへ輸出され、ポール・D・ナデルというスポーツカー愛好家が購入したそうです。

　そして、理由は定かではありませんが、1980年代半ばから2024年始めまで、ニューヨーク州イーストロックアウェイにある氏のつつましやかな自宅のリビングルームに動態保存されてきたと記録されています。

　バックグラウンドチェックが盛んなアメリカでは、個人情報がネットに散乱しています。情報の正誤は確認できていませんが、ポール・D・ナデル、ニューヨーク州イーストロックアウェイというキーワードで検索してみると、たしかにつつましやかな家がヒットします。

　ちなみに、現オーナーが引き取る際には「壁を壊す必要があった」と、Gooding＆Companyの物件紹介ページには記載されています。

●一度もレストアされていない“フルオリジナル”

　ランボルギーニの「ミウラP400S」は、トータル338台しか生産されなかったという希少なモデルです。しかも当該車両は、“フルオリジナル”であるという点でものすごい注目を集めました。

　40年以上も動態保存されてきた、ということは、一度もレストアが施されていないのです。イタリアでの新車登録時のナンバープレート、イタリア自動車クラブ登録時の書類、整備マニュアル、オーナーズマニュアル、パーツブックまで付属しています。

　目ざとい方は、ドアの色が異なることに気づかれるかもしれませんが、実は前後のカウルは再塗装されているそうです。といっても、オリジナルのガラス、オリジナルのライト、オリジナルのエンブレムを装着しています。

　内装も、助手席の左側ランバーサポートが破れてしまっていることを除けば、絶好調です。

　筆者は、このランバーサポートの破れに注目しています。通常、乗り降りをするドア側がの方が擦れやすく、破れることもあるかと思うのですが、助手席の左側ということは、乗員がドライバーに寄り添うように座っていた証、ではないでしょうか？　やっぱり“ミウラ乗り”だとモテるのでしょうか？

＊　＊　＊

　物件紹介には「40年以上、動態保存されてきた車両ゆえ、走行させるには“それなりの整備が必要”」との注意書きがありました。

　それでもコレクターにはたまらない逸品のようで、一般的な「ミウラ」より高めの204万ドル（約2億9439万円）で落札されました。