日本仕様の「CX-80」初公開! マツダ最大のボディサイズを誇る「ラグジュアリーSUV」の魅力とは? 新3列シート車はCX-60やCX-8と何が違う?

ついに日本仕様の概要が明らかになったマツダ新型「CX-80」。この新しい3列シートSUVはどのような魅力を備えているのでしょうか?

日本市場向けのマツダ車で最大サイズの3列シートSUV

 ついに日本仕様の概要が初公開されたマツダ新型「CX-80」。同車は2023年いっぱいで生産を終了した「CX-8」の実質的な後継車であり、日本市場で展開されるマツダ車としては最大のボディサイズを持つ3列シートSUVです。

マツダ新型「CX-80」

マツダ新型「CX-80」

 メカニズム的には、「CX-60」のホイールベースと全長を伸ばし、3列シート化したモデルといっていいでしょう。その関係性は、「CX-5」&「CX-8」と同じです。

 そんな新型「CX-80」は、前身となる「CX-8」からさまざまな部分が大きく変わっています。

 まずは駆動系のレイアウト。「CX-8」は、エンジンを横置き搭載する前輪駆動(FF)車とそれをベースとする4WDでしたが、新型「CX-80」はエンジンを縦置き搭載する後輪駆動(FR)車とそれをベースとする4WDにシフトしたのです。

 後輪駆動といえば、クルマ好きにとっては特別な響きを持ち、“ドライビングの楽しさ”を期待せずにはいられないレイアウト。とはいえ、国産SUVとしてはトヨタ「ランドクルーザー」など本格オフロード系の一部のモデルが採用するものの、オンロード系SUVとしてはマツダの新型「CX-80」と「CX-60」以外に存在しません。

 スポーティなドライビングを好むドライバーなら、それだけで期待したくなるでしょう。そして新型「CX-80」は、このパワートレインレだけでメルセデス・ベンツ「GLE」やBMW「X5」といった後輪駆動ベースの4WDを採用するプレミアムSUVに近づいた存在といっても過言ではないでしょう。

 パワートレインにおけるもうひとつの大きなトピックはディーゼルエンジン。「CX-8」の2.2リッター4気筒から、3.3リッターの6気筒へと大型化が図られています。

 その目的はハイパワー化ではなく、性能に余裕を持たせ、その分、燃費をよくしようというマツダ独自かつ逆転の発想。実際、「CX-60」のディーゼル車は高速巡航時の燃費が20km/Lを超えるほどの省燃費マシン。大きな車体のくせに燃費性能はスゴいんです。軽油は燃料単価が安いこともあり、新型「CX-80」のランニングコストはハイブリッドカーに匹敵するレベルが期待できます。

 このように、ひと回り大きくなったディーゼルエンジンは、小型モーターを組み合わせたマイルドハイブリッド(XDハイブリッド系)と、モーターのないピュアエンジンタイプ(XD系)を設定。そのほか新型「CX-80」には、2.5リッターの自然吸気ガソリンエンジンに大型バッテリーと強力なモーターを組み合わせ、外部からの充電も可能とするプラグインハイブリッド(PHEV系)もラインナップされます。

「CX-60」に設定される、PHEV機構のない2.5リッター自然吸気ガソリンエンジンは、現時点で新型「CX-80」には設定されていません。この辺りを見ても、「CX-8」に比べてパワートレインが明確に上級シフトを果たしていることが分かります。

 また、ベーシックなパワートレインが設定されない分だけ、「CX-60」との価格差(現時点で新型「CX-80」の価格は未公表)も拡大しているのは間違いないでしょう。

●フロントグリル内のアクセントが識別点

 そんなドライブトレインや6気筒ディーゼルの採用は、新型「CX-80」のパッケージングにも影響を与えています。

 新型「CX-80」は「CX-8」に対してボンネットが長く、いわゆるロングノーズ化されています。そのため真横から見たときのプロポーションが優雅な印象となっているのは、誰もが感じられるポイントでしょう。

「3列シートSUVとして豊かさや優雅さを表現した」という新型「CX-80」のデザインは、キャビンに凝縮感があってスポーティな「CX-60」に対して伸びやかな印象。新型「CX-80」と「CX-60」はBピラー部分まで共通ですが、それ以降のホイールベースが250mm伸び、リアのクォーターウインドウやDピラーの形状も変わっていることがこうした印象の違いに大きく影響しているのでしょう。

 細かい部分でいえば、新型「CX-80」は全グレードともサイドウインドウの前後と上部をブライトモールでデコレーションし、上質さを表現。フロント回りはグリルやバンパーなどの基本的な形状こそ「CX-60」と同じですが、グリル内の向かって右上にクロームのアクセントがプラスされているのが「CX-60」との識別点。これは海外仕様にはない日本仕様だけの個性です。

 リア回りでは、リアゲート本体こそ「CX-60」と同じ形状ですが、バンパー下の形状は新型「CX-80」独自のデザイン。「CX-60」に備わる排気口をイメージしたガーニッシュがなくなり、スッキリした印象に仕上がっています。

 グレードごとのルックスの差異を見ると、「プレミアム」系と「エクスクルーシブ」系は車体下部やホイールアーチをボディと同色化。それ以外のグレードは車体下部やホイールアーチが黒い樹脂素地の仕上げとなるなど、「CX-60」と同じ仕立てとなっています。もちろんプレミアム感は、上級仕様に採用されるボディ同色タイプの方が圧倒的に高いのはいうまでもありません。

 新型「CX-80」の全長は4990mmで、「CX-8」に比べると65mm延長されました。そのうち約10cmはパッケージングの変化によるボンネットの延長分です。

「CX-60」と同一の1890mmという全幅は、「CX-8」に対しては35mmワイド化されています。実車を前にするとさすがに大きく感じます。

 大柄なボディゆえ、駐車場などでの取りまわしが気になるところですが、街で頻繁に見かけるトヨタ「アルファード」(全長4995mm、全幅1850mm)と同等のサイズであり、都心で多く見かけるレクサス「LM」(全長5125mm、全幅1890mm)より小さいと考えれば、決して日常で扱えないサイズではないと筆者(工藤貴宏)は思います。かつてのモデルとは異なり、最新のモデルは車両の周囲を確認できるカメラがサポートしてくれるおかげで、周囲の状況をしっかり確認できるようになっていますからね。

高級インポートカーと同等レベルのインテリア

 新型「CX-80」のグレード構成は、基本的に「CX-60」に通じるものとなっています。

マツダ新型「CX-80」

マツダ新型「CX-80」

 エントリーグレードとなるのは、ディーゼルエンジンのみの設定となる「XD」。その上に、快適装備を追加したディーゼルエンジン搭載モデルの「XD Sパッケージ」、ディーゼルエンジンとPHEVから選べる本革シートを採用した「XD Lパッケージ/PHEV Lパッケージ」、やわらかくて肌触りのいいナッパレザーをあしらったディーゼルエンジン搭載の「XD エクスクルーシブモード」をラインナップします。

 さらにその上に、ディーゼルハイブリッドの「XDハイブリッド エクスクルーシブモダン」と「XDハイブリッド エクスクルーシブスポーツ」、さらに、ディーゼルハイブリッドとPHEVを設定する「XDハイブリッド プレミアムモダン/PHEV プレミアムモダン」、「XDハイブリッド プレミアムスポーツ/PHEV プレミアムスポーツ」を設定しています。

 そんな新型「CX-80」のインテリアクオリティは、国産SUVの中では抜群のレベルにあるといっていいでしょう。ひとつの基準は「エクスクルーシブモード」で、それ以上のグレードであればお世辞抜きに、輸入車で例えれば1000万円オーバーのクルマと同等の水準です。

「エクスクルーシブモード」以上のグレードにはシート表皮などにナッパレザーがおごられ、スイッチ類の精緻な仕立ても含めた上質感は、明らかに国産ライバルを超えるものとなっています。

 なかでも、ダッシュボードにスエード調素材をあしらった上でタンカラーとブラックでコーディネートした「プレミアムスポーツ」と、ホワイト内装に本杢を組み合わせつつ、ダッシュボードに縫い目が目を惹く織物を組み合わせた「プレミアムモダン」の両グレードは、独自の世界観でコーディネートされたスペシャルな仕様となっています。

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 ホイールベースと車体のロング化で手に入れたゆとりあるキャビンとプレミアムなインテリア、さらに燃費のいいディーゼルエンジンなど、魅力たっぷりのマツダ新型「CX-80」。3列シートを備えた優雅なSUVが欲しい人にとっては、相当魅力的な1台となりそうです。

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