ETC車ならばエリア内の高速道路を乗り降り自由!? 便利なETC周遊パス「速旅」に登場した“最新ドライブプラン”とは

事前にオンラインで申し込みをするだけで、高速料金が大幅に割引される「ETC周遊プラン」がNEXCO各社から販売されています。目的地や高速道路の使い方によっては最大半額にもなるオトクなサービスですが、NEXCO中日本のETC周遊プラン「速旅」に新しく「静岡ドライブプラン」が6月に登場しました。内容を見ていきます。

新たに登場したNEXCO中日本ETC周遊パス“速旅”の「静岡ドライブプラン」

 NEXCO各社が発売する「ETC周遊プラン」は、商品ごとに定められた価格を事前申し込みにより支払うことで、対象のエリア内の高速道路で何度流出入を繰り返しても追加料金のかからない、ETC車専用の割引商品です。

 そのETC周遊プランとしてNEXCO中日本が発売する「速旅」に、2024年6月1日、新商品「静岡ドライブプラン」が追加されました。

ETCの利用率は高く、2024年3月時点でETC利用率は全体の94.7%だが、まだ「ETC周遊パス」の存在を知らない人も多い

ETCの利用率は高く、2024年3月時点でETC利用率は全体の94.7%だが、まだ「ETC周遊パス」の存在を知らない人も多い

 じつはこの商品、名前に「静岡」が入っていることから、静岡県内を周遊エリアとするETC周遊プランに思えます。しかしじつは、より広い範囲で使え、かつ“裏技”も秘めた“隠れ優等生”なのです。

 早速、その概要を見てみましょう。

 この商品の目的地は「A 静岡県全域および山梨県全域」「B 富士山周辺エリア(富士・御殿場・富士五湖・甲府)」「C/D 静岡県全域」「E 中央日本四県(新潟・長野・山梨・静岡)」にわかれています。

 さらにA、B、C、Dは周遊エリアのみ“乗り放題”の対象となる「発着なし」と、発着地から周遊エリアまでの行程を含む「発着付き」が用意されています。

 発着付きはAが首都圏/愛知/長野、新潟、Bが首都圏/愛知、Cが首都圏/愛知、Dが長野/新潟となっています。

 A〜Dはそれぞれ、価格と周遊エリアとのバランスがよく、うまく活用すれば、高速道路の通行料金を大きく節約できます。

 たとえばBの「首都圏発着」の価格は7400円(普通車、以下同)で、周遊エリアは中央道であれば「談合坂スマートIC〜小淵沢IC」、東名であれば「足柄スマートIC〜焼津IC」の範囲で、利用期間は3日間です。

 もし平日の日中に東京ICから静岡ICを利用すると、片道の通行料金は4300円となります。そのため、単純に往復するだけでも大幅に割安になることがわかります。さらに周遊エリア内のICで観光のため高速道路の流出入を繰り返せば、そのメリットはより大きくなります。

 さて、なかでもとりわけ魅力的なのが、Eの中央日本四県を対象とするプランです。

 この商品は、東名の「富士川スマートIC〜相良牧之原IC」から北陸道の「名立谷浜IC〜新潟中央JCT」、磐越道の「新潟中央IC〜新津IC」、日本海東北道の「新潟中央JCT〜新潟空港IC」まで、日本列島を中部横断道、中央道、長野道、上信越道経由の南北軸でまたぐ広大な範囲を周遊エリアとしています。

 価格は1万8300円で、この区間を端から端まで、たとえば「相良牧之原IC〜新潟中央IC」を平日日中に往復すると通行料金は2万840円であることから、往復すれば“元がとれる”計算になります。

 もちろん、立ち寄り観光すれば、おトク額はさらに大きくなります。ただ実際には静岡と新潟の人口を考えれば、利用者のパイはそれほど大きいとは思えません。

 しかしこの商品には、高速道路の利用がそれほど長距離でなくても、しっかりおトクになる“裏技”的な使い方があるのです。

フェリー代だけで2万円前後も割引される“裏技”プラン

「E 日本中央四県」プランの裏技とは、「佐渡島への旅行で使う」というものです。

新潟‐佐渡のフェリー「佐渡汽船」の「黄金KAIDO割引プラン」を使えば航送運賃は6m未満が一律往復1万9800円となる

新潟‐佐渡のフェリー「佐渡汽船」の「黄金KAIDO割引プラン」を使えば航送運賃は6m未満が一律往復1万9800円となる

 じつは2023年、新潟県、長野県、山梨県、静岡県の4県が協力し、金山で有名な土肥(静岡)と佐渡(新潟)を結ぶ陸路と海路を「黄金KAIDO」とネーミングし、観光客を誘致するプロジェクトがはじまりました。

 今回発売された「E 中央日本四県」のプランはこのプロジェクトに対応するものとなっています。

 そして本州と佐渡島を結ぶ交通手段であるカーフェリーを運航する「佐渡汽船」も、このプロジェクトに呼応し、同プランの利用者向けに乗用車の航送運賃を割り引く「黄金KAIDO割引プラン」を用意しているのです。

 この割引により、航送運賃は6m未満が一律往復1万9800円となります。

 一般的な乗用車のサイズである4m以上〜5m未満では、「新潟〜両津」が3万8780円、「直江津〜小木」が4万1900円(ともに2024年9月30日まで)であることから、割引額は2万円前後となります。

 これにより「E 中央日本四県」の価格がほぼまるまるカバーできることになります。そのため、周遊エリア内から佐渡への旅行を考えてる人は、「使わなくては損」という商品性を持っているのです。

 また周遊エリア外からの発着でも、航送料金の割引を生かすことができます。

 たとえば東京から佐渡への旅行を考えてみましょう。

 関越道練馬ICから磐越道新潟中央ICまで、平日日中に往復すると、通行料金は1万4000円です。これに新潟〜両津の往復航送料金(4m以上〜5m未満)の3万8780円を加えると、5万2780円となります。

 一方、中央道調布ICから同双葉スマートICまで往復し、その先で「E 中央日本4県」を利用すると、通行料金部分は6360円+1万8300円で、2万4660円で、かなり割高になります。

 しかし新潟〜両津の往復航送料金は1万9800円に抑えられるため、合計では4万4460円と、8000円以上も安くなるのです。

 これだけの差があれば、片道約150kmほど“遠回り”になることで必要になるガソリン代も十分に補うことができるでしょう。

※ ※ ※

 もちろん「安くするためだけに遠回りする」のは不合理とも言えます。

 ただ「E 中央日本四県」の有効日数が4日間であることを考えれば、1日目に新潟経由で佐渡に移動し、佐渡で2泊ののち、3日目に長野や山梨で観光を楽しんだあとさらに1泊し、4日目に帰宅するといった使い方であれば、十分に楽しめるのではないでしょうか。

 なお佐渡汽船の割引の適用には、予約時に「E 中央日本四県」の予約番号が必要になります。また「速旅」「黄金KAIDO割引プラン」には、適用除外日があります。お申し込み時に、各自で確認してください。

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