「地方創生」加速期待 自民党新総裁の石破茂氏「人口減っていく地方であってはならない」

自民党の新総裁に27日、石破茂元幹事長が選出されたことで、「地方創生」の取り組みの加速が期待できそうだ。石破氏は平成26年に初代地方創生担当相に就任したこともあり、地方への思い入れは人一倍強いとされる。だが、それから10年を経た今も東京一極集中の流れは変わらない。

「どんどん人口が減っていく地方であってはならない」。この日の決選投票前の演説で、石破氏は地方衰退への危機感をあらわにした。

経済界有志らで構成する「人口戦略会議」は今年4月、744自治体で人口減少が深刻化し、将来的に「消滅の可能性がある」と発表した。人口が減れば、経済活動が停滞し、税収は減り、生活インフラや自治体機能の維持が難しくなる。

石破氏は24日の討論会で「婚姻率が低いところは人口が減る」と指摘。特に若い女性の都市部への流出を食い止めるため、魅力的な職場の創出など「若い人に選ばれる地方を作る」と訴えた。

解決策の一つとして石破氏が掲げるのが産業の「国内回帰」だ。メイド・イン・ジャパンにこだわり、国内にサプライチェーン(供給網)を整備することで輸出増や経済安全保障の強化を図る。

デジタル技術を活用した情報格差の是正や訪日客の地方への誘致にも取り組む考えだ。

一方、金融市場は「石破首相」の誕生に身構える。石破氏が一時期、金融所得課税の強化に言及したことが尾を引いている。25日の会見では「貯蓄から投資へという流れは一層加速させていく」と語るなど態度を軟化させているが、市場の警戒感はしばらく解けそうもない。(米沢文)

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