ホンダ、EV用「全固体電池」で中国追走=来年1月に実証生産

全固体電池の実証生産ラインについて説明する本田技術研究所の大津啓司社長=20日午前、栃木県さくら市



電気自動車(EV)用の次世代バッテリーとして期待される「全固体電池」の量産に向け、ホンダが実証生産ラインを2025年1月に稼働させる。同電池はEVの性能を飛躍的に向上させることが可能で、早期の実用化が急務。ホンダは製造技術などをこの設備で検証し、EV電池で先行する中国などを追走する構えだ。国内勢ではトヨタ自動車や日産自動車も開発にしのぎを削り、実用化を急いでいる。
「現状は中国、韓国に負けているが、それをひっくり返す一つの技術だ」。今月20日に栃木県の拠点で開いた実証ラインの説明会で、本田技術研究所(埼玉県和光市)の大津啓司社長は自社の全固体電池の優位性をこう強調した。
全固体電池は電気を通す「電解質」を液体ではなく固体にした電池で、現在主流の液体リチウムイオン電池より安全性が高く、1回の充電で走れる距離も長いなどの利点がある。ただ、中国勢はこの分野でも量産体制を整えつつあるとみられ、競争環境は激しさを増している。
ホンダは20年代後半の量産開始に向け、実証ラインなどに約430億円を投資。実用化できれば走行距離は2倍超になり、電池コストを25%減らせると見込む。開発中の世界戦略EV「ゼロ」シリーズへの搭載も見据える。
EV市場を一変させる「ゲームチェンジャー」となり得る技術だけに、国内勢の取り組みも加速している。27~28年の実用化を目指すトヨタは、出光興産と開発面で協業。日産は来年3月に横浜市の工場で実証ラインを稼働させ、搭載したEVを28年度までに発売する青写真を描く。
ホンダはEV分野で日産と協業しているが、全固体電池については「今は(各社が)個別に技術を作る局面」(大津氏)とみて、独力での開発に注力する考えだ。




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