価格転嫁浸透カギ=格差縮小へ中小底上げ狙う―春闘

連合は18日、2025年春闘の賃上げ率の目標を全体で「5%以上」、中小企業の労働組合ではそれを上回る「6%以上」とする基本構想を決めた。24年春闘でも目立った企業の規模間格差の縮小を目指す考え。賃上げの原資を確保するため、製品やサービスへの価格転嫁を浸透させられるかがカギを握りそうだ。
24年春闘で全体の賃上げ率は5%台に達した一方、組合員数が99人以下の組合では3.98%と4%にも届かなかった。連合幹部は「格差是正には中小が大手を上回る要求をする必要がある」と、中小で高い目標を設定した狙いを説明した。
原材料費や人件費の上昇が続く中、価格転嫁の定着は道半ばだ。帝国データバンクの調査によると、全く転嫁できていない企業は今年7月時点で10.9%だった。日本商工会議所の小林健会頭は「業界によっては競争が激しくて値上げができない」と指摘する。
連合は基本構想に「適切な価格転嫁、適正取引の取り組みを強化する」と明記。政府が昨年策定した労務費転嫁に関する指針の周知を徹底する。都道府県ごとに行政と労使の代表者が集まって協議する「地方版政労使会議」なども活用し、賃上げの裾野拡大につなげる方針だ。

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