今年注目の文具はコレ! 「日本文具大賞2024」グランプリ&優秀賞を一気見せ!【最新ヒット良品と秘密基地づくり】
【最新ヒット良品と秘密基地づくり】
その年の文具の優秀作を決めるアワード「日本文具大賞2024」が発表された。昨年から“機能面” “デザイン面”に加え、“サステナブル面”も評価対象に。ここではグランプリを含む3部門の優秀作15製品を本誌審査委員のコメントとともに紹介。
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今年の日本文具大賞では、2023年6月8日以降に発表された文具の新製品&リニューアル製品の中から、「機能部門」「デザイン部門」「サステナブル部門」のそれぞれに、優秀賞5製品が選定され、その中からグランプリ1製品が決定。
今年の受賞製品の傾向としてまず注目したいのが、世界的にも課題となっているサステナブル的視点。髙橋さんは「プラスチック使用量の削減、廃材を利用した代替素材の開発、徹底したゼロダストなど、エシカルな視点で環境課題へ取り組む意欲的な製品も増えています」と話す。ほか2部門を見ると、「機能部門」では“タイパ”に優れた製品、「デザイン部門」では“遊び心”にフォーカスした製品が目立つ。
髙橋さんに総括を聞くと、「ギミックやアイデアの面白さ、シンプルでスマートなデザイン、そしてなにより、使っていて気持ちの良い高精度な設計とものづくりの品質は、日本の文具メーカーならではの魅力。そして、その根底にある“細かすぎて伝わらない”かも知れないけれど、このアイデアをカタチにせずにはいられなかったという文房具メーカー開発者たちの高い熱量が、どの製品からも感じられました」とのこと。
では早速、そんな高い熱量が込められた受賞製品たちをご覧いただくとしよう。
日本文具大賞2024 審査委員 髙橋正道さん『グッズプレス』編集長を経て、現在は本誌ゼネラルプロデューサー。2017年より『日本文具大賞』審査委員を務める。デザイン文具好き
その年の“機能面” “デザイン面” “サステナブル面”それぞれにおいて優れた文具に贈られるアワード。今年で33年目を迎える。
<第33回日本文具大賞2024>
【グランプリ】
■人にも環境にもやさしい。そんな未来が描ける絵具
日本理化学工業
「キットパス バイアーティスト(エクル)」715円
パッケージデザインに障がいのあるアーティストの作品を採用したことに加え、販売金額の一部がアーティストに還元されるなど、文具製品が社会的課題にどのように貢献できるかをカタチにした意欲的プロダクト。古くから障がい者雇用に取り組み、誰もが必要とされ役に立って働ける“皆働(かいどう)社会 ”を目指すという高い企業理念も含めての大賞です(髙橋さん)
主成分はお米からとれるライスワックス。窓やガラスなどにも発色良く描けるだけでなく水できれいに消せる、環境にも身体にもやさしい絵具。パッケージは社会福祉法人藤沢育英会アートスペースの障がいのあるアーティストの描いた作品を使用。
<機能部門>
道具の本質とは? それは機能性にほかならない。日々使う文具であれば、“いかに不便を便利に変えてくれるか”が求められるポイント。
【優秀賞】
■整理済みのクリアファイルを、簡単作業でひとつに管理
片山商会
「インデックスクリップ&ファイルジョイント」(880円)
リングファイルの可能性を拡大する、ものづくりのまち・東大阪の企業らしいアイデアに富んだ製品。シンプルな構造ながらありそうでなかったスグレモノ。 名もなき雑務を解消するだけでなく、ユーザーの発想で思わぬ使い方が生まれる可能性を秘めている点に期待(髙橋さん)
見出し及びクリップ機能を発揮するインデックスクリップと、リングファイルの開閉不要で脱着できるファイルジョイント。これで複数のクリアファイルに分かれた書類をひとつのリングファイルで簡単に管理することが叶う。
【優秀賞】
■アルコールに強く、凍結面、水ぬれ面にも細かく書ける
コクヨ
「リサーチラボペン」(396円)
水と混ざりにくく、結露した容器や凍結した容器にも書けるという性能を“研究環境に適したペン”というコンセプトに特化させたアイデアが秀逸。ペン先を細く、小さな文字も書き込みやすくしたプロ仕様は、特定の業種から熱烈な信頼と支持を受けること間違いなし!(髙橋さん)
アルコールに耐性があって水と混ざりにくく速乾性にも優れた特殊インクを採用したペン。ペン先に硬い素材を用いることでマイクロチューブのフタなど、小さな面にも細かい文字が書き込める。インクは赤と黒の2色展開。
【優秀賞】
■ペン先を回転させて、アナタ好みの書き心地にチューン
セーラー万年筆
「TUZU アジャスト 万年筆」(4950円)
気取らず、肩肘張らず使えて、でも万年筆ならではのひと手間も愉しみたい。そんな自由な発想で再設計された新感覚の万年筆。万年筆を知らない世代にも興味を持たせるギミックの面白さ、ポップなクリエイティブに脱帽。多くの人が買いやすい価格設定も好評価の理由(髙橋さん)
新筆記具ブランド、TUZUからリリースされた、利き手を問わずどんな書き方でも快適に使い続けられる万年筆。10度間隔でペン先を回転させてグリップの位置を調整することが可能で、自分に合った書きやすさが見つかる。
【優秀賞】
■握り心地と切れ味を改良し、梱包作業のストレスを解消
プラス
「梱包用テープカッター グリップカット」(1540円)
“グッと握れて、ズバッと切れる!”という売り文句そのままの快適性を実現した良品。手馴染みの良い立体カーブ形状ハンドルは握り心地良く設計され、長短段差をつけた2段刃の切れ味は快適そのもの。日本のモノづくりの良いところが凝縮されたようなプロダクト(髙橋さん)
しっかり握れて、手への負担も軽減するハンドル形状、ズバッと快適に切れる長短2段刃、粘着面が貼りつきにくく、テープの引き出しやセットがスムーズにできるシリコンローラーを搭載し、面倒な梱包作業をも快適に!
■新形状のリング金具で、省スペース&容量アップ!
LIHIT LAB.
「リングファイル<ツイストリング スマートスリム>」(616円)
リングパーツを刷新することで、ほぼ完成かと思われていたリングファイルをもう1ランク進化させた革新的製品。その“細かすぎて伝わらない”機能は、もっと評価されていいはず。書類管理を簡単かつどこまでもスマートにしようとするその企業努力に敬服しました(髙橋さん)
スリムな背幅なのに220枚収容できるスペースパフォーマンスに優れたリングファイル。片手で簡単に開く形状のリング金具を斜めに新設計してファイル左右の空間をなくしたことで、書棚に収容できる冊数の収容量もアップ。
<デザイン部門>
生活を便利に変えてくれるだけでなく、持っていることでちょっと楽しい気分になれる。これも文具選びにおいては大事なポイントだ。
【優秀賞】
■ノートの一部のように持ち運びできる新しいボールペン
ゼブラ
「ピタン」(1320円)
ホルダー部の内蔵磁石というギミック、シンプルな構造、無駄をなくしたデザインは新たなペンホルダーとしての完成度が高く、なによりスタイリッシュ。ペンを近づけるとピタッと収納される面白さは、それを見た人と思わず会話が生まれるコミュニケーションツール(髙橋さん)
クリップ付き&磁石内蔵の専用ホルダーをノートなどに装着し、磁力でペンを固定。ペンを使用する時は、ホルダーから取り外してノックするだけ! ノートとペンの新たな関係性を提案し、2023年度グッドデザイン賞も受賞。
【優秀賞】
■単色と調色の両方が自由に楽しめて、遊び方は無限大
KA-KU
「おうちで混ぜて楽しめる『8月の夜』インクキット」(3300円)
インク作りを、まるで香水作りのように自分自身の手で気軽に楽しめる“遊び”をデザインした発想力を評価。“若いユーザー層に万年筆を広げるきっかけにもなり、万年筆市場をも刺激し拡大させる”。そんな製品として世に広まってほしいという思いで一票入れました(髙橋さん)
夏の夜をイメージさせる3色の水性染料インクがセットになったキット。インクが入ったスポイト式ボトル以外に、パレットやマドラー、カラーサンプルシート、空ボトルなども付属。調色方法も記されているのですぐ試せる。
【優秀賞】
■ロールペンケースが、2ステップで便利なトレイに変身
プラウズ
「dritto Pen roll」(9625円)
「その手があったか!」と膝を叩きたくなるシンプルなギミックが秀逸でした。一枚皮からなる質感と耐久性、機能を伴うデザイン性は都会的なニーズにもピッタリ。カバンのスキマにも収納でき、デスクにおいてもサマになる。その佇まいはまさに大人の逸品の貫禄(髙橋さん)
一枚革を折り込んだシンプルなロールペンケースに、開くとペントレイになるギミックを加味。収納したペンとペン同士が触れ合わないので傷がつきにくく、革でペンを巻き込んで収納するため音もせずスマートに持ち運べる。
【優秀賞】
■高質感と利便性の追求が手に持った瞬間に驚きを与える
東海理化
「エクスプロリカ ペン」(5500円)
職人の手しごとを感じる金属パーツと高級感のある台座付き卓上ペンが、この価格で手に入るのは嬉しい。さらに持った際の重さと指馴染み感も従来のペンとは一線を画すもの。機能美とエモーションが調和した、新たな体験をユーザーに与えるデザイン性が評価されました(髙橋さん)
特徴的な三角形の断面形状により、親指、人差し指、中指が自然と正しい位置に収まり、書く時の指先が美しく見えるように、太さや丸さ、部品の構造や素材選定に至るまでこだわりを詰め込んでデザインされたボールペン。
【優秀賞】
■見られたくない書類の保護と、取り出しやすさを両立
LIHIT LAB.
「SELFANA ソリッドホルダー<オープンポケットタイプ>」(440円)
就活生たちから求められた機能を、デザインで解決した点を評価しました。“見せたくない、でもさっと出したい”そんな使いやすさを突き詰めて考えた、開発現場の努力にも敬意を払いたい。モノづくりには完成がないということを改めて考えさせられました(髙橋さん)
周りに見られたくない書類の保護と、サッと取り出したい書類の簡単出し入れを両立した3WAYホルダー。「クリヤーホルダー」ごと入るワイドサイズも嬉しく、就活やフォーマルシーンにも対応するベーシックカラーの3色展開。
<サステナブル部門>
日々の消費が早く、買い替えも頻繁な文具だからこそ、プラスチック使用量の削減やリサイクル素材の採用といった取り組みは重要だ。
【優秀賞】
■サステナブル性とデザイン性を兼ね備えた紙ファイル
イムラ
「紙エール(透明加工)紙ファイル(リサイクル可能)」
紙自体を透明に加工することで、プラスチックの窓を貼り合わせる必要を無くすというアイデアが光っていました。また再生紙としてリサイクルできるエシカルな点はもちろん、要望に応じてオーダーメイドでデザインできる、製品としての自由度の高さも優れた点です(髙橋さん)
リサイクル適性の高い紙ファイル。半透明の窓部分も含め、すべて紙にリサイクルできる点が大きな特長。しかも窓部分の形は自由にデザインでき、透明度が高いため、窓から見た中身の文字やQRコードの読み取りが可能だ。
【優秀賞】
■廃材をアップサイクルして作られた新型メタルペンシル
サンスター文具
「Re:メタシル」(990円)
黒鉛と金属を含んだ特殊芯で作られた芯は、プラスチックと金属が混ざったような新たな質感で、そのネーミングに思わず納得。さらにボディ素材に帆立などの廃材を使用するなど、“プラスチック使用量を徹底的に削減しよう”という開発コンセプトにも好感が持てます(髙橋さん)
削らずに約16kmも書き続けられるえんぴつ。滲まず、消しゴムで消せるので水彩画などの下書きにも対応。本体が噴石、牡蠣殻、卵殻、帆立殻などの廃材を約40%含んだプラスチックで作られており、環境にも配慮されている。
【優秀賞】
■エコな素材&ポップなデザインで、楽しく環境にも配慮
プラス
「ノリノ 紙ケース入りテープのり」(275円)
「ホワイパー 紙ケース入り修正テープ」(275円)
プラスチック使用量削減という環境課題に向き合った結果、デザイン的にも目を引く新鮮な製品に昇華されています。ありきたりなジャンルも、サステナブルの視点でリプロダクトすることで新規ユーザーにアピールできるモノに生まれ変わる。そんな可能性を感じました(髙橋さん)
プラスチック使用量を従来比40%〜47%削減したエコなテープのりと修正テープ。紙ケース、キャップと本体プラスチックは簡単に分別できるよう設計されており、リサイクルしやすい。持っているだけで楽しいポップなデザインも魅力。
【優秀賞】
■水彩絵の具としても使える、世界初のゼロダストペンシル
北星鉛筆
「大人の水彩色鉛筆3.3スターターキット」(8800円)
芯がスライド式になっていて削りカスが出ないだけでなく、削った芯や折れた芯をクレヨンや水彩絵の具のようにも使えたりと、ゼロダストな開発コンセプトに挑む志の高さに一票! “循環型鉛筆産業システム”に取り組んでいる企業姿勢も評価したいポイントです(髙橋さん)
手に入れた瞬間、すぐに絵が描ける便利な13色の芯スライド式水彩色鉛筆セット。芯の出し入れが自由自在で、そのまま描くだけでなく絵の具としても使用可能。芯の削りカスや短くなった芯も絵の具として無駄なく使える。
※2024年9月6日発売「GoodsPress」10月号52-55ページの記事をもとに構成しています
<取材・文/TOMMY>
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10/04 20:00
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