2500万円のトヨタ「アルファード」が売れている!? 競合多い「高級ミニバン市場」 激化する中国で人気は意外なトヨタ巨大ミニバンだった!?
現在、中国では多種多様なミニバンが存在します。最近では中国メーカーが相次いでEVミニバンを投入しています。一方で日本勢も根強い人気を誇っているようです。
トヨタが追い上げ?中国ミニバン市場のイマ
世界最大の自動車市場である中国では多種多様なブランド・車種が存在しています。
中でもここ数年は新たなミニバン車種が続々と登場しています。
2023年、中国では約3009万台の新車が販売されました。この数は世界的に見ても随一で、15年連続で世界最大の市場規模を誇ります。
経済的な急成長を遂げた中国は1990年代以降から一般市民でも自動車が手に入れられるようになっていき、特に2000年代後半からはEV(電気自動車やプラグインハイブリッド車)への需要増加も影響して巨大な市場を形成します。
また、中国がトップに輝いたのは内需だけではありません。同じ年に中国はそれまでのトップだった日本を抜いて、「世界最大の自動車輸出国」にも輝きました。
これにとどまらず、中国メーカーは日本や欧州メーカーのように国外の生産拠点も拡充しており、世界の各市場にて頭角を現しつつあります。
ここ数年の中国は電気自動車(BEV)一辺倒と思われがちですが、実はプラグインハイブリッド車(PHEV)も同様に人気です。
それだけでなく、ガソリン車やストロングハイブリッド車も依然として各メーカーが新車を投入している分野で、幅広く手掛けているのが特徴と言えるでしょう。
また、ボディタイプも世界的な流行の煽りを受けてSUVが増えてきていますが、一方でミニバンの車種も増えてきているのは中国独自の兆候と言えるでしょう。
中国では2019年以降、これまでミニバンを手がけてこなかったような中国メーカーが続々とミニバン車種を投入しています。
それまでの中国にでは圧倒的な存在感を誇るトヨタの「アルファード」、そして米・ビュイックの中国専売車種「GL8」の2車種が大型ミニバンとして馴染みの深い車種でした。
もちろん両者ともに現在でも人気ですが、大型ミニバン市場における勢力図はここ数年で大きく変化しました。
中国の大型ミニバン販売ランキングを見ると、現在トップに輝いているのはBYDが展開する「デンツァ」ブランドの「D9」となります。
デンツァ D9はBEVとPHEV両方を取り揃えるミニバンで、2022年の発売以降ほぼ毎月1万台を販売するBYDのベストセラー車種です。
乗り心地や内外装の質感は一般的なレベルにとどめ、販売価格を抑えたことが人気の理由のひとつと言われています。
900 km前後を走れるPHEVモデルは33.98万元(約688.9万円)から、一回の満充電で500 km前後を走れるBEVモデルは37.98万元(約753.8万円)からとなっており、両モデルの価格差もそこまで顕著ではありません。
また、もうひとつ人気な「中国製ミニバン」がジーカー 009です。
ジーカーはスウェーデンのボルボやイギリスのロータスなどを傘下に収める「ジーリー(吉利汽車)」が2021年に設立した純電動ブランドで、2025年には日本でも乗用車を販売すると言われています。
009は全長5.2メートル・全幅2メートルというボリュームのあるボディサイズを誇るだけでなく、その奇抜なエクステリアデザインも唯一無二の存在感を演出します。
プレミアムな質感の内装も相まって高級純電動ミニバンという立ち位置を確立させていますが、その価格は43.9~51.9万元(約884.2~1045.2万円)と比較的安価で、毎月2000~3000台ほどが販売されています。
これ以外にも、中国の歴史ある高級車ブランド・紅旗の「HQ9」、東風汽車の電動ブランド・ヴォヤーの「ドリーマー」、中国新興EVメーカー御三家・理想の「MEGA」。
シャオペンの「X9」、広州汽車の乗用車ブランド・トランプチからは「M6」「M8」「E8」「E9」など、多くの新たなミニバンがここ数年で誕生しました。
では、もともとミニバンを得意としていた日本メーカーはどうなのでしょうか。
アルファードじゃない! 売れている「トヨタ巨大ミニバン」とは
中国メーカーが相次いで新規車種を投入していることから窮地に立たされていると思いがちですが、実はかなりの健闘を見せています。
日本メーカーのミニバンの中でもっとも売れているのは、トヨタ「シエナ」です。
シエナは長らく北米市場を中心に販売されてきた一方、中国では並行輸入車として密かなに人気を誇っていました。
その人気ぶりは2021年に中国での正規販売開始という形で身を結び、現在は毎月8000台ほどを販売しています。
また、トヨタは中国で第一汽車との「一汽トヨタ」、広州汽車との「広汽トヨタ」の2つの合弁会社を展開しています。
シエナを製造・販売しているのは広汽トヨタですが、一汽トヨタではシエナの姉妹車「グランビア」を担当しています。
実質的には同じモデルなので、毎月7000台ほどを販売するグランビアを合算すれば、シエナシリーズは毎月1万5000台を売り上げている計算になります。
これは大型ミニバンの車種別ランキングで首位に立つデンツァ D9よりも多い数字となります。
もちろん、アルファードも依然として中国で人気です。
輸入車となるアルファードやヴェルファイア(中国名:クラウンヴェルファイア)は関税の影響で中国での価格が89.9元(邦貨換算:約1822.7万円)からとなります。
これに加えてディーラーが優先納車のための上乗せ料金を課すことも珍しくなく、乗り出し価格は日本円にして2500万円を超えることも。
それでも中国では年間2万台を販売している状況なので状況はそこまで悪くはありません。
中国の大型ミニバン市場における現況は、「装備と価格を抑えた中国EV勢」と「昔からの信頼で優位に立つ日本HEV勢」の2勢力が目立っています。
中国メーカーのEVミニバン数多かれど、ランキング上位に立てるのはほんの一握り。
日本勢が現状ガソリンかハイブリッドのみだとしても、その安定した品質と経済性には一定の評価がなされています。
近い将来には日本勢によるPHEV・BEVミニバンも登場することでしょうし、ますます他との差をつけることが期待されます。
10/06 07:40
くるまのニュース