KADOKAWAの買いたたき認定 公取委、下請け法違反で勧告へ
雑誌製作に携わるライターやカメラマンへの報酬を不当に低く設定したとして、公正取引委員会は8日までに、出版大手「KADOKAWA」(東京都千代田区)など2社の下請け法違反(買いたたき)を認定し、再発防止を求める勧告を出す方針を固めた。関係者への取材で判明した。公取委は勧告案をすでに通知しており、KADOKAWA側は違反を認め、不当に引き下げた差額分の報酬を支払う意向という。
KADOKAWAは角川書店を前身に出版のほか、メディア関連事業を幅広く手掛け、2024年3月期の売上高は2581億円(連結決算)。勧告を受けるもう1社は100%子会社の「KADOKAWA LifeDesign」(東京都千代田区)で、生活情報誌「レタスクラブ」や通販カタログなどを編集、出版している。
関係者によると、2社は23年初め、「レタスクラブ」の記事執筆や写真撮影を委託する20以上の下請け業者に対し、23年4月号掲載分から原稿料や撮影料を一方的に引き下げたという。引き下げ率は最大で数十%に達したが、下請け側はライターやカメラマンなど個人事業主として働くフリーランスが大部分で、契約の打ち切りなどを懸念し、要求に従わざるを得なかったとみられる。
特定の企業や団体に所属せず、弱い立場にあるフリーランスの保護を巡っては、下請け法と同様に買いたたきや報酬の減額などを禁じる新法の「フリーランス取引適正化法」が11月1日に施行されたばかり。ただし施行前の行為は対象外のため、公取委は今回、下請け法を適用した模様だ。
一方、新法にはフリーランスの就業環境の整備も盛り込まれ、下請け法の適用外だった資本金1000万円以下の中小企業などの違反も問えるようになる。フリーランス保護の枠組みが強まる中、公取委は「下請けいじめ」に対する厳格な姿勢を示しており、10月にもVチューバー(バーチャルユーチューバー)大手事務所を運営する動画制作・配信会社について、クリエーターら下請けのフリーランスに無償で作業のやり直しを繰り返し強要したとする下請け法違反を認定、是正勧告した。【渡辺暢】
11/08 14:02
毎日新聞