イージス艦の「レーダー」取り替えませんか!? 米海軍が採用の新型を“猛烈売り込み” 「日本は特にお買い得ですよ!!」一体なぜ?

アメリカ海軍が採用した新型艦載レーダー「SPY-6」は、イージス艦だけではなく空母や強襲揚陸艦など幅広い艦艇に搭載される予定です。SPY-6を製造するRTX社によると、アメリカ以外の国がSPY-6を導入する場合の「お買い得情報」があるとか。

アメリカ海軍艦艇に続々搭載

  アメリカ海軍艦艇のレーダーが、最新型へ順次置き換えられていくようです。大手防衛関連企業RTX(旧レイセオン・テクノロジーズ)の「SPY-6」シリーズへ置き換えていく「バックフィット改修」が、間もなく開始されると同社の関係者が明かしました。

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アメリカ海軍の最新鋭イージス駆逐艦「ジャック・H・ルーカス」(画像:アメリカ海軍)。

「SPY-6」は、イージス艦が従来搭載していた「SPY-1」レーダーと比較して、電波出力向上による探知距離の延伸や探知精度の向上、さらに整備性も大幅に改善されたレーダーです。ボックス状の小さなレーダー(RMA)を組み合わせることで、1つの大きなレーダーを構成します。そのため、SPY-6は搭載する艦艇や求められる能力などに応じて、RMAの数を変更することにより自身のサイズを自在に変更できます。

「SPY-6」は、最新のイージス艦であるアーレイバーク級駆逐艦フライトIIIをはじめ、強襲揚陸艦や輸送艦、空母、フリゲートなど7艦種60隻以上への搭載が予定されています。このうち、先述した「バックフィット改修」が行われるのは、アーレイバーク級駆逐艦フライトIIAおよびニミッツ級原子力空母の一部です。

まずは、2025年もしくは2026年に駆逐艦「ピンクニー」(DDG-91)が改修を受け、その後に空母「ジョン・C・ステニス」(CVN-74)が2026年にニミッツ級としてはじめて改修を受ける計画です。

 また、RTX社ではSPY-6の国外輸出についても積極的なアピールを行っています。これに関連して、RTX社はアメリカ以外の国がSPY-6を導入した場合のメリットとして、「アメリカ海軍との共同購入」が挙げられるとしています。

ある国が有償軍事援助(FMS)の一環としてSPY-6を購入する場合、それをアメリカ海軍が導入するSPY-6とセットで発注するといいます。こうすることで、SPY-6を一度にまとめて購入する形になるため、単価を低くすることができるそうです。

日本にも積極的な売り込み どんなメリットが?

 こうした動きは、日本市場を強く意識したものだと筆者(稲葉義泰:軍事ライター)は考えます。というのも、現在海上自衛隊では、艦齢が古くなったこんごう型護衛艦の後継となるイージス艦の建造を予定しており、その搭載レーダーとしてRTX社のSPY-6が有力候補の一つとなっているためです。

 さらに、アメリカ海軍のバックフィット改修と同様に、まや型護衛艦など既存の海上自衛隊のイージス艦にもSPY-6を搭載することが可能だとRTX社は説明します。加えて、イージス艦に限らず幅広い艦艇への搭載も可能だ、としました。今後登場する新型の汎用護衛艦への搭載なども視野に入れていることが伺えます。

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海上自衛隊の護衛艦「こんごう」(画像:海上自衛隊)。

もし日本が購入する場合、先述したアメリカ海軍との「まとめ買い」や部品共有といったメリットを最大限享受することができます。

また、SPY-6に関しては、日本の三菱電機および三波工業が部品製造に参画すると2024年7月に発表されています。将来的に、これら2社による部品供給などを含めた参画範囲が拡大すれば、アメリカ海軍向けの整備拠点が日本に置かれる可能性も否定できません。そうなれば、日本がSPY-6を導入するメリットは、さらに大きくなるでしょう。

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