史上初の実戦参加か? 米海軍「最新ステルス艦載機」漆黒の出撃シーンが公開! 自衛隊と共同演習も
最新ステルス戦闘機F-35「ライトニングII」の末弟といえる「C」型が、初めて実戦投入されたようです。海兵隊向けのF-35Bとは6年も遅れてのことですが、なぜここまで遅延したのでしょうか。
フーシ派の拠点に対して出撃
アメリカ国防総省は2024年11月12日、中東イエメンに拠点を置くフーシ派への攻撃にF-35Cが参加したと発表しました。
この攻撃はアメリカ中央軍による対ISIS作戦の一環として行われたもので、11月9日から10日にかけて実施されています。作戦実施の根拠は、紅海周辺の民間船舶やアメリカとその連合軍の軍艦への攻撃に対する報復であり、イエメンのフーシ派支配地域にある兵器貯蔵施設へ空爆が行われています。なお、発表によれば、この空爆にはアメリカの海軍と空軍の部隊が参加したそうです。
F-35は「統合打撃戦闘機(JSF:Joint Strike Fighter)」計画のもと開発された機体で、開発国のアメリカだけでなく、その他同盟国の戦闘機や攻撃機も置き換えることを目的にしています。このため、通常の陸上運用型(空軍仕様)の「A」の他に、短距離離陸・垂直着陸機(STOVL)型の「B」、そして今回の空爆に参加した空母から運用される艦載型(海軍仕様)の「C」があります。
今回の国防総省の発表では追及されていませんでしたが、おそらく今回の作戦投入が「C」型にとって初の実戦参加と思われます。
また、F-35Cの具体的な発進場所や所属部隊名の追求もありませんでした。しかし、アメリカ中央軍の「X」の公式アカウントでは、今回の国防省の発表に合わせるかのように空母「エイブラハム・リンカーン」で行われた夜間空母発艦の動画を投稿しており、そこにはF/A-18「ホーネット」戦闘機に混ざって発艦するF-35Cの姿も収められていました。
なぜF-35計画で「C」型だけ実戦投入が遅れた?
最新鋭戦闘機というイメージのあるF-35ですが、「A」型と「B」型については、それぞれ2019年と2018年に初めて実戦投入されています。今回の作戦が「C」型にとって初めての戦闘任務ということであれば、「B」型の初の実戦参加から6年も遅れたことになります。
じつは、これには理由があり、「C」型はF-35開発計画の中で実用化が最も遅れていたからです。ゆえに、第一線部隊で運用が始まったのも2019年でした。開発が遅れた一番の理由は、艦載機として必須の空母着艦に利用するテールフックに問題が生じていたからで、そのためにテールフック自体を再設計したという経緯があります。
ちなみに、アメリカ海軍の戦闘機を題材にした映画『トップガン マーヴェリック』において、F-35Cがオープニング以外で登場しなかったのは、撮影が行われた2018年時点で、それに協力できるF-35Cと部隊がなかったのが理由のひとつと言われています。
いずれにしても、今回の作戦によってF-35の全モデルが実戦を経験したことになります。なお、F-35Cは新たに横須賀基地に配備されるアメリカ空母「ジョージ・ワシントン」の搭載機でもあり、11月13日に日本近海において自衛隊のF-2戦闘機や韓国空軍のF-15K戦闘爆撃機と編隊飛行する様子が公開されています。
【動画】米軍が公開! 空母カタパルトからのF-35射出その瞬間
11/17 07:42
乗りものニュース