「乗り得列車」どう特定? 今だけ無料の「中央線グリーン車」乗ってみた! 今だけ“ない”サービスも

JR中央線・青梅線の快速電車に、2階建てグリーン車が登場しました。「お試し期間」のため一部設備はまだ使えませんが、それでも快適な空間と座席を無料で利用できます。実際に東京駅から乗ってみました。

両開きドアが威力を発揮

 2024年10月13日、JR中央線・青梅線の快速電車で2階建てグリーン車の連結が始まりました。2025年春までは「お試し期間」として普通車扱いになり、グリーン料金不要で乗車できます。平日の午前、通勤ラッシュも落ち着いた頃を見計らって東京駅から実際に乗車してみました。

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JR東京駅2番線の発車案内。中央線快速の12両はグリーン車を連結している(和田稔撮影)。

 乗車日(10月15日)時点でのグリーン車組み込み編成はまだ少なく、ほとんどがまだ10両編成です。そこで活躍するのが「JR東日本アプリ」です。

 アプリ内の「列車走行位置」では両数も表示されるため、「12両」の電車を探せば一目でグリーン車組み込み編成の走行位置を知ることができます。さらに電車のアイコンをタップすると「停車駅情報」で終点までの時刻と遅れ情報が表示されます。

 今、東京駅へ向かっている12両の電車は、定時であれば四ツ谷に9時21分着。そこでJR東日本のウェブサイトにある時刻表で四ツ谷9時22分発の電車をタップ、詳細情報を表示すると……出てきました、東京駅は2番線の到着。アプリと時刻表の列車番号はいずれも「880T」で相違ないので、2番線で待つことにします。

 ちなみに今回は、このような方法で走行位置と番線を調べましたが、今後、編成数が増えることでどんどん乗りやすくなっていくでしょう。

 東京駅からグリーン車に乗車しました。車内では座席のリクライニングやテーブル、ドリンクホルダー、コンセント、そして1階席は読書灯なども使用可能です。車内の静寂性は2階・1階ともにほかの普通列車2階建てグリーン車と変わらず、快適に過ごせます。座席の前後間隔が20mm、座席幅が一脚あたり10mm縮小していますが、特に気になることはありません。

 車端部の平屋席は、自動ドアでデッキ部分と仕切られており、すべて2列となったことから半個室のような空間です。自動ドアは手をかざすと開くタイプなので、不用意に開閉することもありません。ただ、床下に台車があることから時には走行音が気になること、ドア寄りの座席は戸袋の関係から窓が細長く、進行方向によっては眺望が難しくなる点は注意が必要です。

 この細長い窓は、乗降時間短縮のため両開きのドアを採用した独特の構造によるものです。その分、2人並んで降車・乗車してもスムーズで、両開きドアの効果は存分に発揮されているようでした。東京駅でグリーン車の待機列を2列にしているのも、1300mmのドア幅だからなせるものでしょう。

今だけ「ない」サービスは?

 一方、2025年春の本格運用開始までは「お試し期間」であるため、トイレ・ゴミ箱・フリーWi-Fiは使用できず、座席の枕カバーもなく、アテンダントの乗務もありません。座席上部にあるグリーン券情報読み取り部へのタッチも不要です。

 車掌の放送では
・12両すべてが普通車として運転
・トイレは6号車にある
・4・5号車の一部の設備は使用を停止している
・ゴミは持ち帰りを
といった内容が案内されていました。

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中央線グリーン車の概要(画像:JR東日本)。

 そして、折り返し駅で印象に残ったのが、座席の回転です。「お試し期間」では自動回転は行わず、折り返し時の清掃もないため、乗客が自分で座席の向きを変える必要があります。しかし、連結が始まったばかりであるためか、気付かずそのまま座るケースも多々あるようでした。

 座席はほかの普通列車グリーン車や特急、新幹線などと同様に通路側座席足元のペダルを踏めば回転できます。見方を変えれば、このような体験ができるのも「お試し期間」ならではでしょう。

 また、途中駅のホームでは、見慣れない2階建ての車両が目の前に現れ、戸惑いの表情を浮かべながら前後の3・6号車のドアへ移動する乗客も多くいました。現時点で、通勤・通学でのヘビーユーザーならまだしも、そうでない人にとってグリーン料金不要で乗れるということの認知度は高くないのかもしれません。

 中央線・青梅線快速電車に登場した、快適な空間を持つ2両のニューフェイス。せっかくの「お試し期間」ですから、乗り心地を楽しんでみてはいかがでしょうか。

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