中央線「グリーン車」は競合に勝てるのか!? 京王&西武「ライナー」と設備を比較 “隠れライバル”は身内か
JR中央線快速と青梅線に、もうすぐグリーン車が登場します。中央線といえば、南北で競合する京王電鉄が「京王ライナー」、西武鉄道が「拝島ライナー」をすでに走らせていますが、どのように違うのでしょうか。
グリーン車は来春まで「お試し期間」
2025年春からJR中央線・青梅線の快速電車でグリーン車のサービスが始まります。これに先立ち、2024年10月13日以降、グリーン車を組み込んだ編成が徐々に増え、来春のサービス開始まで「お試し期間」としてグリーン料金不要で乗車できます(アテンダントの乗務はなし)。
競合区間を持つ京王電鉄は新宿~京王八王子間で「京王ライナー」、西武鉄道は西武新宿~拝島間で「拝島ライナー」を運行していますが、それぞれどのような個性があるのでしょうか。
まず共通の車内設備としては、ドリンクホルダー、コンセント、フリーWi-Fiが挙げられます。ただしコンセントは、「拝島ライナー」が窓側席のみ設置で、通路側の席にはありません。
座席のリクライニングは、グリーン車が全席可能であるのに対して、「拝島ライナー」は不可、「京王ライナー」は8編成中2編成のみが対応しています。ただ、これに乗れるかどうかはその日の運次第です。トイレは「拝島ライナー」の4号車にも設置されていますが、グリーン車では洗面所も独立して設置されています。
ほかにも座席背面のテーブル、網ポケット、読書灯、ゴミ箱、アテンダントによる車内サービスはグリーン車ならでは。デッキから階上・階下の客室へは螺旋階段を通ること、また車端席部分は自動ドアでデッキと仕切られていることから、静寂性や車内の保温も優れています。拝島ライナーも一部の駅以外は各車両1か所のドアのみを使用しますが、客室と外の世界がここまで明確に分かれているわけではありません。
2階席からの眺めも含めて、普段とはちょっと違った、特別な空間の演出はグリーン車の得意とするところです。
運転本数も、最終的にすべての中央線E233系にグリーン車が組み込まれることから、乗車機会は格段に多くなります。一方、ライナーの本数は次のとおりです。
●京王ライナー(京王八王子発着)
・平日:上り6本、下り7本
・土休日:上り3本、下り7本
●拝島ライナー
・平日:上り3本、下り6本
・土休日:上りなし、下り6本
いずれも上りが午前、下りが夕方からの運行で、着席サービスの恩恵を受けるには時間帯を選ぶ必要があります。いつでも乗れる気軽さはグリーン車のアドバンテージといえるでしょう。
グリーン車「最大の弱点」は?
注意したいのは、グリーン車は自由席であるということです。拝島始発の東京行きや新宿始発の中央線・青梅線直通の下り電車は存在せず、通勤時間帯に拝島・新宿からの着席を狙うのは難しそうです。確実に座れるという点では、全席指定で運転される「京王ライナー」「拝島ライナー」に分があります。
ちなみに、現在の平日で、中央線快速上りの八王子始発東京行きは7時台に02・17・35・56分の4本があり、所要時間こそ長いものの、着席できる可能性が高い人気列車になりそうです。
さて、競合区間での気になるIC運賃・料金は次のとおりです。
●新宿~八王子
・「京王ライナー」(新宿~京王八王子)
819円(37.9km、運賃409円+座席指定券410円)
・中央線グリーン車
1242円(37.1km、運賃492円+グリーン料金750円)
差額:423円
●新宿~拝島
・「拝島ライナー」(西武新宿~拝島)
850円(36.9km、運賃450円+指定券400円)
・中央・青梅線グリーン車
1,233円(34.1km、運賃483円+グリーン料金750円)
差額:383円
これまで紹介してきた設備やサービスを踏まえて、高いか安いか……好みが分かれるポイントかもしれません。なお、グリーン車はSuica・モバイルSuicaで乗車前に購入した場合の「Suicaグリーン料金」であり、紙のきっぷや車内で購入の場合は1010円の通常料金が適用されます。
特急「はちおうじ」「おうめ」よりも割高になるなど、様々な話題を提供してくれる中央線のグリーン車。まずは無料の機会に試してみてはいかがでしょうか。
10/10 07:12
乗りものニュース