たまたま「ETCない車」に乗ったら、なぜこんなに苦労しなきゃならないのか 救済策なきETC専用化 「なくてもよくね?」との板挟み

高速道路で「ETC専用」の料金所が拡大しています。たまたまETCのないクルマに乗ったら、思わぬリスクを伴う状況ですが、特段の救済策もありません。

首都高エリアに「ETCなし」で近づく恐ろしさ

 高速道路で「ETC専用」の料金所が拡大しています。2024年9月には阪神高速で新たに10か所、NEXCO東日本の圏央道で1か所、10月からは外環道で2か所が新たにETC専用となりました。

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首都高のETC専用入口の例(画像:写真AC)。

 ETC専用料金所が最も多いのは首都高です。2022年春に35の料金所(もともとETC専用の1か所含む)を一気にETC専用とし、テレビやラジオなどでも「ETCのないクルマは利用できない」旨を盛んに宣伝しています。

 もはやETCなしで首都高エリアに近づくのは“リスク”を伴います。

 非ETC車は距離によらず、普通車で1950円の上限料金が徴収されるので、渋滞などのために一度退出し、もう一度入ろうとしたら、また1950円。そもそも現金などが使える入口まで大きく迂回を強いられるケースもあります。どこがETC専用入口で、どこが現金OKか、把握している人も少ないのではないでしょうか。

 23か所の入口がETC専用となっている阪神高速も、今年6月から上限料金が普通車で1950円に引き上げられ、非ETC車については首都高と同様の扱いです。

 その後、首都高のETC専用入口は、半導体不足の影響もあって増えてはいません。しかし、首都高速道路の寺山 徹社長は10月2日の記者会見にて、「かなり早い時期に」「大半が」ETC専用になると予告しました。

 首都高ではETCの利用率が約98.3%に達しているといいます。国土交通省によると全国的にも約95%です。

 しかし、何らかの理由でETCが使えないことは、ままある話です。

 たとえば「代車」の場合。ある北関東の大都市で地域最大クラスの整備工場でも、全ての代車にETCを付けていないといいます。ETCの装着は義務ではなくオプション扱いなので、無理もないことかもしれません。

 レンタカーを利用する際にETCカードを忘れた場合、大手レンタカーではカードをレンタルできますが、1回330円など有料のサービスです。

ETC普及率、大都市と地方でズレ?

 国は高速道路のETC専用化について、2025年度までに「都市部で概成」、そして2030年度頃までに「地方部を含めて概成」というスケジュールを立てています。しかし、現状ではETC専用料金所の数も、地域でバラつきがあります。

 地方部で比較的進んでいる四国では10のICがETC専用となっていますが、北関東以北の東北・北海道や、沖縄はゼロです。東京近郊ではおちおちETCなしで高速道路に乗れなくなっているのに、地方ではETCがなくても、別に困っていないのです。

 ETC利用率の低さが取りざたされる地域の一つが沖縄です。沖縄道では「特別割引」として、全線・全車種で35.5%という破格の割引が続けられていましたが、2024年4月からはETC限定の割引に変更されました。報道によると、6月末の時点で沖縄道のETC利用率は70%から76%まで増加したものの、西日本各地より大幅に低い値だそうです。

 国や高速道路会社は、ETC車載機の助成キャンペーンなどは展開するものの、非ETC車への救済策らしい救済策は打ちだしていません。大都市圏は間もなく本格的に「ETC必須」という状況になりそうですが、地方部との意識のズレはしばらく存在しそうです。

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四つ木は上下線の入口・出口が備わった首都高では貴重な「フルIC」。そうした箇所もETC専用になっている(画像:写真AC)。

 ちなみに、首都高のETC専用化について寺山社長は、「街路とつながる入口はほぼ専用化する」としつつも、NEXCOの高速道路などと接する本線料金所については、まだ計画が十分に立っていないと明かしました。

 非ETC車も首都高を1950円(普通車)で通過することだけは当面できそうです。しかし、それもいずれは、ETC専用となる見込みです。

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