デカい!商船三井の「新たなクルーズ船」ついに登場 横浜到着→そのまま“引き渡し”!? 2か月後デビューの「超高級船」

商船三井が2隻の新造クルーズ船とは別に導入する豪華客船「MITSUI OCEAN FUJI」が、ついに引き渡されました。アメリカのクルーズ船はどう“日本のクルーズ船”に生まれかわるのでしょうか。

クルーズ船が横浜接岸→下船→そのまま“引き渡し”

 商船三井グループの“新たなクルーズ船”がついに姿を現しました。横浜港の新港ふ頭客船ターミナルに接岸したクルーズ船「Seaborn Odyssey(シーボーン・オデッセイ)」の船内で2024年9月25日、同船を米シーボーン・クルーズから商船三井グループの商船三井クルーズに引き渡すセレモニーが開催されました。

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横浜港に接岸したシーボーン・オデッセイ。今後、MITSUI OCEAN FUJIになる(深水千翔撮影)。

 同船は今回がシーボーン・オデッセイとしての“ラストクルーズ”で、その最終地が横浜でした。引き渡し後は商船三井クルーズの「MITSUI OCEAN FUJI(三井オーシャン・フジ)」として生まれ変わるのです。クラシミール・ラデフ船長は「この愛されるクルーズ船の船長を務めることができたことは、私の人生における誇りであり喜びだ」と話しました。

 シーボーン・オデッセイはラグジュアリークラスのクルーズ船として2009年にイタリアの造船所T・マリオッティで竣工しました。シーボーン・クルーズはプライベートヨットのような感覚で船旅を楽しめるよう、複数のレストランや広いスパなど充実したパブリックスペースを配置し、乗船客の定員を抑えることで質の高いサービスを提供してきました。

 就航以来、「シーボーン・オデッセイ」は18万454人の乗客を迎え、426か所に寄港し、85万9554海里(約160万kmを航行しました。シーボーン・クルーズは同船が、クルーズ業界の水準を押し上げ、その革新さを反映して、超高級セグメントのゲームチェンジャーと称賛されたと説明しています。

 ラデフ船長は「私はこの船の建造チームの一員として、造船所でキールプレートが敷かれ、そして美しい姿になるまでずっと目にしてきた。船長になったのも『シーボーン・オデッセイ』であり、本当に恋しく思うが、この素晴らしいクルーズ船を大海原の新たな旅へとゲストを案内する『MITSUI OCEAN CRUISE』へ引き渡すことを光栄に思う」とコメントしました。

 シーボーン・オデッセイの導入を商船三井が発表したのは2023年のこと。同船を「MITSUI OCEAN FUJI」と改名した上で、商船三井クルーズの新ブランド「MITSUI OCEAN CRUISE」初の投入船として2024年12月から運航を始めることを明らかにしていました。

 商船三井クルーズの山下晶一朗取締役は同船の引き渡しに当たって「MITSUI OCEAN CRUISEは、たくさんのお客様に愛され、愛されてきたこの美しい船を引き継ぎ、心躍るエンターテイメントと美味しい食事、そして厳選した寄港地観光ツアーを通じて、日本の美しい船旅をお客様に提供していく」と話しています。

「にっぽん丸」よりだいぶデカい!

 MITSUI OCEAN FUJIは3万2477総トンで、既存の「にっぽん丸」(2万2472総トン)よりも大型のクルーズ船となります。バハマ船籍で、全長は198.15m、全幅は25.6m。船客定員は458人です。客室数は229室で、最上級の「MITSUI OCEAN SUITE」をはじめ、全て海を望むスイートルームで構成されています。

 ちなみに2025年5月13日に横浜港を出港し66日かけて24か所の港を巡るグランドアジアクルーズでの「MITSUI OCEAN SUITE」の旅行代金は2000万円。「OCEAN VIEW SUITE」でも470万円となっています。

 レストランはメインダイニングの「ザ・レストラン富士」や予約制の「北斎ファインダイニング」など4カ所。このほかバーやステージ、スパ、カフェラウンジスペースなど乗船客が思い思いに過ごせる空間を用意します。船尾にはウォータースポーツを楽しむためのマリーナが置かれています。

 新たにMITSUI OCEAN FUJIの船長となるキム・ロジャー・カールソン氏は「日本初の全室スイート客船であるMITSUI OCEAN FUJIが当社の客船ラインナップに加わった。船長としてこの船の安全運航を、誇りを持って指揮し、美しい日本、そしてその先の寄港地へ向けて航行できることを心より楽しみにしている」と述べました。

まだ来るぞ! 数年後には4隻体制!

 シーボーン・オデッセイは三菱重工業横浜製作所で改装工事を実施した後、MITSUI OCEAN FUJIとして就航。デビュークルーズとして横浜発、名古屋発、神戸発の各コースが用意されています。

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引き渡しのセレモニーで(深水千翔撮影)。

 初航海は12月1日17時に横浜を出発し別府、釜山、下関に寄港し、7日8時30分に東京へ到着します。12月29日から2025年1月8日にかけて行われる10泊11日のニューイヤークルーズでは、横浜発着で済州島、釜山、長崎、別府、広島を巡り、デビューのお祝いと船上で日本の年末年始を感じてもらう料理や空間を提供するとしています。

 商船三井は海運市況の影響を受けにくい経営基盤を確立しつつ、拡大が期待される国内外のクルーズ需要を取り込むべく客船事業の強化を図っています。商船三井クルーズが運航するクルーズ船は「にっぽん丸」と「MITSUI OCEAN FUJI」の2隻へ拡充されますが、商船三井グループでは2027年以降に3万5000総トン級の新造船を2隻導入することも計画しており、将来的に同社のクルーズ船隊は4隻体制となることが見込まれます。

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