「東京を縦断する貨物線」が激変!? 旅客化に“バス案“が急浮上 所要時間や運行本数の想定も明らかに

旅客化が検討されている貨物線「新金線」。これまでは鉄軌道による整備が想定されていましたが、ここにきてバス案が急浮上しました。どのような背景があるのでしょうか。

新金線の旅客化に「連節バス案」が急浮上

 東京都葛飾区は2024年9月、旅客化を検討している貨物線「新金線」について、これまでの鉄軌道による整備方法に加え、連節バスによる旅客化も検討していく方針を明らかにしました。

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JRの185系特急形電車。新金線経由の貸切列車に使われたこともある(画像:写真AC)。

 新金線は総武線の新小岩付近と常磐線の金町をつなぐJRの貨物線です。単線ですが、複線化用地も確保されています。区は、南北方向の鉄道網を充実させるため、かねて新金線旅客化検討委員会を設置しており、2022年度からはJR東日本などの関係機関も旅客化検討に加わっています。

 これまでは「普通鉄道」と「LRT」の比較検討が行われ、鉄軌道による整備方法が想定されていました。ただ、平面交差する新金線と国道6号との交差方法、高架化が必要になる「高砂踏切」付近や金町駅など、施設計画上の課題によって事業費の増大が確認されたとしています。

 そのため、「複線化用地を専用道(道路法に基づく道路)として旅客化」する案が急浮上した形です。

「ボトルネック区間」は一般道を走行も

 道路で整備する場合は、「全線専用道」で整備するケースと、「専用道+一般道」で整備するケースを検討し、単線運行が見込まれています。

「専用道+一般道」のケースは、高砂踏切より南側から一般道を走行し、ボトルネックとなる場所を避ける想定です。一般道の走行区間では、国道6号の「中川大橋東交差点」を道路信号に従い横断し、金町駅は北口駅前広場に発着します。

 これならば、ボトルネックとなっている国道6号と新金線が交差する新宿新道踏切は“そもそも通らない”ことになり、金町駅付近も高架で整備する必要はありません。

 運行本数は、1時間あたりピーク時10本、オフピーク時6本を想定。所要時間は「全線専用道」の場合は約26分、「専用道+一般道」の場合が約28分となる見込みです。
 
 車両は環境性能に優れたEV(電気自動車)やFCV(燃料電池車)の導入を検討していく方針ですが、EVやFCVの連節バスは国内メーカーが製造していないため、海外製車両の輸入についても検討が必要としています。

 区は今後、連節バスによる旅客化検討を深度化し、概算事業費、需要予測、費用便益分析、事業スキーム、収支採算性の試算を行う予定。その後、鉄軌道案を含めて比較評価や事業性向上策の検討を行うとしています。

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