NATO加入で”空の祭典“にも変化アリ? ズラリ並ぶ新型戦闘機… スウェーデン空軍の最新状況
スウェーデンが2024年、世界最大の軍事同盟「NATO(北大西洋条約機構)」に加入しました。このことで同国の“空の祭典”にも変化が。その最新事情を見てきました。
フィンランド、ドイツだけではなく…。
スウェーデンが2024年、世界最大の軍事同盟「NATO(北大西洋条約機構)」に加入しました。このことで、8月に行われたスウェーデン最大級の「空の祭典」にも、変化が訪れています。
ロンネビー航空ショーは、スウェーデン空軍第17航空団のホームベースでもあるスウェーデン南部のロンネビー空港で毎年開催されています。
しかし、今年はスウェーデンがNATO に加盟して最初のショーにあたるため、毎年参加しているフィンランドとドイツに加え、オランダ、イギリス、デンマーク、ノルウェーの参加が発表されていました。そのため、この10年間同国で行われた航空ショーの中では最大の規模になっています。
このショーでは、まず入場ゲートにおいて来場者全員の手荷物検査があったほか、希望者全員には耳栓が配られています。戦闘機のデモフライトは大きな音がするので親切な配慮です。会場の中でも希望者に耳栓を配布する係員が巡回していました。
飛行展示は朝の9時から始まり、すでに退役した歴代のスウェーデン空軍ジェット戦闘機が全機種飛行したのち、続いてサーブ39「グリペン」が単機、そして4機編隊のデモ飛行をそれぞれ行いました。どちらの飛行も途中で花火のような火の玉「フレア」が放出されるおまけ付きで、フレアが出るたびに歓声が上がっていました。
午前の部が12時ごろ終わると、午後も再び午前と同じ順番で、同じメニューで飛行展示が繰り返されます。これも参加者がデモ飛行を見逃すことがないようにという、ありがたい配慮なのですが、会場にいると昼を食べる時間もないようなスケジュールでした。
デビュー前の「新型グリペン」も
デモフライトの最後はオランダ空軍の空中給油機・輸送機A330MRTTの後に「グリペン」戦闘機と「タイフーン」戦闘機が並んで空中給油するデモも行われました。
一方、地上展示でも多くの機体が所狭しと並べられています。特に人だかりができていたのが、スウェーデンでは初公開となるノルウェー空軍の戦闘機F-35Aです。これは航空自衛隊も導入中のアメリカ製ステルス戦闘機ですが、他国のモデルとは異なり、ノルウェー独自の要求で着陸減速用のパラシュート「ドラグシュート」を格納するためのコブが背中に設けられているのが特徴です。
ショー前日には基地の外から多くのファンが見守るなか、F-35Aがドラグシュートを使用して着陸する光景が見られましたが、ショーではノルウェー政府からデモフライトの許可が出なかったとパイロットの1人は話してくれました。
ロンネビーの第17航空団にも配備されている「グリペン」は、単座のグリペンCと複座のグリペンDに加え、現在テスト中のグリペンEも展示されていました。
「グリペン E」は、既存のC/D型と比較して、コックピットに大型ディスプレイが搭載されたほか、エンジンも今までのF404よりも強力なF414に変更されています。この新エンジンのおかげでアフターバーナーを使用しなくとも超音速巡航できる、いわゆる「スーパークルーズ」を可能としています。なお、グリペンEの部隊への引き渡しは来年から始まる予定です。
今回のロンネビー航空ショーはスウェーデン空軍がすでにNATOの一員であることを強く印象付ける内容であったと感じました。
09/14 15:12
乗りものニュース