ぜ~ッたい渋滞してる!「埼玉の4大市街地」なぜ鬼門? スイスイ通過できない・させない鉄壁の構造とは!?

「東西軸」道路の貧弱さがいわれる埼玉県南部。東西の移動には、都市間の幹線道路だけでなく市街地も大混雑し、抜けるのに時間がかかります。実はそれぞれの都市に固有の課題がありました。

埼玉は「東西軸」が弱いと言われるゆえん

 埼玉県内の道路は「東西軸に弱みがある」と、よく言われています。
 
 県内の南北方向は、東北道、関越道という2本の高速道路に加え、国道4号、国道122号、国道17号、国道254号が、多くの部分で旧道とバイパスの2本建てで構成され、通過交通と地域内交通を担っています。しかし東西方向は、高速道路こそ外環道、圏央道があるものの、一般道は外環道の高架下を走る国道298号、その北側に並行する国道463号、国道16号、県北の国道125号などがいずれも混雑し、しかも一部“ブツ切れ”の状態です。

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国道254号バイパスが国道16号を陸橋で越え県道15号と交わる川越・小仙波交差点手前。右側車線がそのまま右折車線になるため、陸橋上で直進車線への移動が起こり渋滞する(乗りものニュース編集部撮影)。

 そして、この東西方向の移動のさらなる足かせになっているのが、通過する主要都市における道路のつくりです。以下、順に見ていきましょう。

所沢市

 東京都に接する所沢市は、西武池袋線、西武新宿線を使えば23区方面へのアクセスもよく、ベッドタウンとして発展しています。ところが、主要道がすべて、その発展した市街地の中心部に集まるような作りとなっているため、渋滞に遭遇することなく東西移動できるのは、深夜や早朝のわずかな時間帯のみです。
 
 また、さいたま市方面から国道463号でアプローチし県道179号で青梅方面に向かう場合や、清瀬市方面から県道6号でアクセスして国道463号で入間市方面に向かう場合など、市街地を通り抜ける際にクランク状に右左折せざるを得ないケースが多発することも、その渋滞に拍車をかける要因となっています。

川越市

 その情緒あふれるたたずまいから“小江戸”として親しまれる川越市ですが、古い街並みがそのまま残っていることから、中心部の道路は狭く、ところどころで迷路状になっています。

 そのため東西の通過交通は、中心部を貫く県道15号および市街地の南側を半円を描いて回る国道16号が引き受けていますが、前者は片側1車線でそもそも交通容量が小さいこと、後者は片側2車線ながら沿線に郊外型の店舗が建ち並び市街地を形成していることから、スムーズな通過はほぼ不可能です。

 とくに国道16号については、その入間方面と国道254号「富士見川越バイパス」富士見方面との短絡路がなく、そうした交通も引き受けざるを得ないことが、交通量増加の一因になっているとも考えられます。国道16号の本道が直角に曲がる脇田新町交差点の改良も含め、ぜひ改良をお願いしたいところです。

「鉄道のまち」故に辛い東西移動

 県都と東部の最大都市も“関門”が立ちはだかります。

さいたま市

 さいたま市エリアの東西移動の妨げになっているのは、南北方向に“万里の長城”のように立ちはだかるJR線の存在です。

 南浦和駅-浦和駅-大宮駅とつながるJR線は、京浜東北線、上野東京ライン(東北本線)、湘南新宿ライン(東北貨物線)の3複線を基本に、大宮操車場へ進入する武蔵野線貨物支線など、多くの線路が並行しています。

 この線路を渡れるのは、住宅地からつながる生活道路的な陸橋がほとんどで、線路の西に並行する国道17号「新大宮バイパス」と東に並行する県道35号「産業道路」を1本で結ぶ幹線道路として機能しているのは、国道463号バイパス、県道56号-214号などごくわずかです。これら道路に東西方向の交通が集中するため、つねに渋滞気味です。

 またそれ以外の道路の多くは市街地での右左折を強いられ、短い距離にもかかわらず思った以上に時間がかかります。

 鉄道に分断された街並みを連続化し交通をスムーズにするには連続立体交差化が不可欠ですが、ここまでの規模の線路に対する連続立体交差化工事は、費用や工期から考えても困難です。少なくとも、「東西にまっすぐ通り抜けられる道の整備」が望まれます。

越谷市

 さいたま市では「鉄道」という人工物により東西の移動が妨げられましたが、越谷市にある“バリア”は市内を流れる河川です。

 越谷市の市街中心部は元荒川、古利根川という2本の河川に挟まれた平地に発展し、その東側には中川が南北に流れます。

 そのため越谷市を東西に横断する場合は、いずれかの橋で川を渡る必要があるうえに、市街地の西を南北に走る国道4号「草加バイパス」から東の方向に市街地を貫く道路が皆無であることから、交通量の多い時間帯には市内の各所で渋滞が発生してしまうのです。

 さらに週末には、市内の南東に位置する日本最大級のショッピングモール「越谷レイクタウン」に向かうクルマの一部が市街地を通り抜けようとするため、場所によっては“止まって動かなくなる渋滞”に巻き込まれることもあります。

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貴重な東西軸である国道463号「浦和越谷バイパス」は、越谷の国道4号で途切れ、市街東側に抜けられない(乗りものニュース編集部撮影)。

※ ※ ※

 このように埼玉県の主要都市は、それぞれが東西の通り抜けに時間がかかる固有の事情を抱えています。こうした状況の解決にはバイパスの建設が有効ですが、すでに形成された市街地に新たに道路を通すのは容易ではありません。

 埼玉県を東西に移動する場合は、これらの市内の通り抜けに時間がかかることをまず理解し、「距離的に最短に見えても市街地を通り抜けるルートを選択しない」「リアルタイムの渋滞状況から最短ルートを案内できるスマホのナビアプリなどを活用する」などの対策をとりましょう。

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