わずか500mの距離で並行!? “2本のトンネル”で大変貌する東京の住宅街とは 未開通道路の“ラスボス”的地形

東京の住宅街で未開通道路のトンネル工事がまもなく始まります。そこからわずか500mの距離に、もう1本のトンネルも並行して建設中。2本の未開通道路を阻む特徴的な地形が克服されようとしています。

崖を貫く2本のトンネル

 東京の住宅街で、ある1本のトンネルが建設中。今年度中には、なんと500mしか離れていない場所にもう1本、並行するトンネルの工事が始まる予定です。

Large 240821 mejiro 01

奥が環状4号線の未開通部。今後トンネルが建設される(乗りものニュース編集部撮影)。

 場所は豊島区目白と、文京区目白台。いずれも、神田川北岸の河岸段丘、いわゆる「目白崖線」を貫き、崖の下と上の地域を結びます。

 ただ、近いといっても路線は全く別モノです。

建設中のトンネル「環状5号線」

 豊島区目白のトンネルは、「環状5号線(環5の1)」の未開通部です。明治通りのバイパスになります。都電荒川線「学習院下」電停付近、明治通りの坂に坑口をうがち、崖上の目白通りをくぐって豊島区役所方面に出るものです。

 環状5号線は、地上の都電荒川線を挟んだ側道と、その地下を通るトンネルの本線とで構成されます。側道はすでに工事たけなわ、トンネルも実は、崖上の区間についてはすでに躯体が完成しています。明治通りに出るところが、最後の難関となっているのです。

 この環状5号線の未開通部1.4kmが開通すれば、池袋駅の東口を通る明治通りを避けて、新宿方面から王子(明治通り)・川越(国道254号)方面に抜けることができます。

 環状5号線は、ここ池袋(雑司ヶ谷)と新宿に長らく未開通部を残したままでしたが、後者は2022年に開通。池袋は2028年3月の完成を目指して工事が進んでいます。

これから工事が始まる環状4号線「目白台」

 目白台のトンネルは「環状4号線」の未開通部です。環4は山手線の南側、白金台-品川の延伸部だけでなく、残る未開通部2区間の工事も進んでいます。そのうちの一つ、新宿区の「富久町」区間330mは用地買収もかなり進んでいます。

 もう一つの目白台区間775mは、いわば“ラスボス”です。用地取得も99%完了し、東京都第六建設事務所は2024年度「トンネル工事着手に向けて関係機関と調整を進める」としています。

 このトンネルは崖上の目白通りをくぐり、環状4号線の北部区間である不忍通り(文京区-台東区)に直結します。現在の不忍通りは目白通りからT字に分岐していますが、トンネル開通後は、こちらが本線になります。このほか環4は既存部でも随所で拡幅が進んでいます。

 環状4号線は外苑西通り(港区-新宿区)や「不忍通り」や明治通りの荒川区-墨田区区間、丸八通り(墨田区-江東区)などが該当し、1本の環状道路としての一体感は、環状5号線(明治通り西側)と比べれば希薄です。

Large 240821 mejiro 02

環状4号線の未開通部、神田川に架かる橋。すでに完成している(乗りものニュース編集部撮影)。

 しかし、この目白台周辺は、崖の下と上を結ぶ道がどれも極めて細く、クルマでの移動が難しい地域です。そこを難なく抜けられる道路は、地域の“常識”を大きく覆すと考えられます。

※ ※ ※

 環状1号線から8号線までの東京の環状道路。そのうちの2本で奇しくも、目白崖線が“最後の難関”として立ちはだかっています。

ジャンルで探す