降りて呆然「甲子園球場はどこ…?」 全国に潜む「間違うとアウト!」な駅 “最寄り駅っぽさ”というワナ

鉄道に乗る時、目的地までのルートや時刻は乗り換え検索アプリで簡単に調べられます。しかし、早合点や勘違いで間違った検索結果を鵜呑みにしてしまったら大変です。そのような“悲劇”が生まれやすい駅が、全国にいくつかあります。

甲子園口駅から甲子園球場は遠い

 鉄道で出かける時は、かつては事前にルートを下調べし、時刻表を確認して……という、なかなか手間のかかるものでした。しかし現在は、スマートフォンの乗り換え案内アプリに目的の駅を入力すれば、最適ルートと所要時間などを瞬時に表示してくれるため、下調べの“苦労”は過去のものとなっています。
 
 ただそうしたツールが、便利さのあまり利用者が“思い違い”に気付かず、表示された「間違った目的地」に行ってしまったという例が度々SNSをにぎわせています。

 ここでは、そうした“悲劇”が生まれやすい「間違いやすい駅」の代表例をいくつか紹介します(以下は「本来目的とすべき駅→間違って降りてしまった駅」です)。

甲子園駅(阪神本線)→甲子園口駅(JR神戸線)

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JR神戸線の甲子園口駅(画像:写真AC)。

「○○口」という駅名なら、大抵の人は「○○のすぐ近くにある駅だな」と考えるでしょう。しかし、阪神甲子園球場に向かうつもりでJR神戸線の「甲子園口駅」に降り立つと、目の前に広がるのは庶民的な商店街。球場の姿はどこにも見えません。

 それもそのはず、阪神甲子園球場は甲子園口駅から南へ約2.5km、歩くとたっぷり30分はかかります。そして球場のすぐ手前には“正解”の駅、阪神本線の「甲子園駅」が待ち構えています。

 関西圏に住む人には常識だと思いますが、それ以外の地区、特にJRで向かう人は、要注意です。

幕張豊砂駅(JR京葉線)→幕張駅(JR総武本線)

 日本最大級のショッピングモール「イオンモール幕張新都心」の最寄り駅は2023年3月に開業した「幕張豊砂駅」です。南側に設けられた改札口を出ると、すぐ正面に「エキマエモール」が現れます。

 ところが「幕張」という名称で検索して出てくる「幕張駅」は、目的のイオンモールから約3.5km離れた住宅地のど真ん中。さらに幕張豊砂駅へ直通するバスはなく、歩くと1時間弱という距離です。

 改めて幕張駅から幕張豊砂駅に向かうにも、京葉線への乗り換えは蘇我駅か西船橋駅までの遠回りを余儀なくされます。幕張駅からバスで京葉線の海浜幕張駅に向かい1駅移動するか、隣の幕張本郷駅で降り、バスに乗り換えるのが、リカバリーの最短ルートです。

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JR京葉線の幕張豊砂駅(乗りものニュース編集部撮影)。

五稜郭(函館市電湯の川線)→五稜郭駅(JR函館本線)

 江戸末期に築城され、旧幕府軍と明治新政府軍による箱館戦争の舞台ともなった「五稜郭」は、道南有数の観光スポットとして知られています。JR函館本線だと函館駅のすぐ隣にある「五稜郭駅」が五稜郭観光の最寄り駅だと考えて不思議はありません。

 ところが実際の五稜郭は、五稜郭駅から西に2kmほど。冷え込む時季だと徒歩ではちょっと厳しい距離です。

 より五稜郭に近いのは、函館市電の「五稜郭公園前停留場」で、その距離は800mほど。五稜郭観光では欠かせない五稜郭タワーや、北海道の漁業や交易の歴史を学べる函館市北洋資料館も至近で、観光ルートの充実度としても、こちらに軍配が上がります。

桃山駅(JR奈良線)→桃山御陵前(近鉄京都線)

 かつての伏見城跡地で、現在は皇室の墓所となっている「伏見桃山陵(桃山御陵)」。近鉄京都線にはそのものずばりの「桃山御陵前駅」があり、最寄り駅と思わせますが、実はJR奈良線「桃山駅」が200mほど近くにあります。JRで京都駅まで来たなら、わざわざ改札を出て近鉄線に乗り換える必要はないのです。

 なお直線距離ならより近い京阪宇治線「桃山南口駅」がありますが、御陵内に入ると急な階段が待ち構えています。健脚自慢向けといえるでしょう。

長野原草津口駅(JR吾妻線)→草津駅(JR琵琶湖線)

 やってしまうとほぼ回復不可能なのが、この“ふたつの草津”にまつわる「目的地の駅間違い」です。

 天下の名湯として知られる草津温泉があるのは群馬県草津町で、JR吾妻線「長野原草津駅」から、もしくは北陸新幹線「軽井沢駅」からバスで向かいます。

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JR琵琶湖線の草津駅(画像:写真AC)。

 一方、“草津”と検索して出てくる「草津駅」は滋賀県草津市の中心駅で、両者の距離は直線距離でも350km以上。さすがにこれだけ離れていたら「間違える人はいない」と思いたいところです。

 しかし草津市観光物産協会のウェブサイトには、トップページのメインビジュアルの下に「群馬県草津温泉をお探しの方はこちら。」というキャッチとともに、草津温泉協会ポータルサイト「湯LOVE草津」へのリンクが張られています。報道によると「草津町へのふるさと納税の返礼品」について、草津市に問い合わせが寄せられるということからも、実際に駅を間違えて訪ねる人もいるかもしれません。

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 以上、“悲劇”を生む「間違いやすい駅」を5例紹介しました。出かける際はアプリの検索結果だけを頼るのではなく、目的地の公式サイトなどでアクセスルートをしっかり確認しましょう。

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