「外国の方が運転しています」ステッカー 見かけたら“警戒”すべき、これだけの理由
観光地などで「外国の方が運転しています」というステッカーが貼られたクルマを見かけることがあります。実際、遭遇したらどうすべきでしょうか。そのクルマだけでなく、周囲一帯が“要注意”といえるかもしれません。
たいていレンタカー「外国の方が運転しています」
沖縄や北海道など、外国からの旅行者が多い地域は近年、「外国の方が運転しています」というステッカーが貼られたレンタカーを目にする機会が増えています。
たとえば沖縄では美ら海水族館、北海道では美瑛や富良野エリアなど、とくに外国人旅行者に人気のスポットでは、駐車場に並ぶクルマの多くがこのステッカー付きであることも珍しくありません。
このステッカー、そもそもは2015年9月に「沖縄県レンタカー協会」が独自に作成したのがはじまりです。ついで2016年4月、北海道が同様のものを作成し、道内のレンタカー会社に配布。2017年には「東京都レンタカー協会」も追随しました。
こうしたステッカーを見て、「外国人旅行者が日本で運転できるの?」と疑問に思う方がいるかもしれません。じつは日本の運転免許証を持たない外国人旅行者が日本で運転するには、ふたつの方法があります。
まずもっともポピュラーなのが、ジュネーブ条約(道路交通に関する条約)に基づく「国際運転免許証」での運転です。
この条約の締約国が発行する国際運転免許(有効期間1年間)を持つ外国人旅行者は、その有効期間内において、日本での運転が可能となります。これにはアメリカをはじめ多くの国が含まれます。
つぎに同条約に基づく国際運転免許証を発行していない、もしくは同条約を締約していないが、日本と同等の水準にあると認められる免許制度を有していると認められる国や地域の免許証による運転です。この場合は、政令で定める者(免許の発給機関、在日の大使館・領事館など)が作成した日本語翻訳文を添付することが条件となります。現在対象となるのはスイス、ドイツ、フランス、ベルギー、モナコ、台湾です。
つまり「外国の方が運転しています」のステッカーが貼られたレンタカーは、「日本の運転免許を持っている外国人」というごくわずかな例をのぞけば、ほぼ上記の条件により日本で運転が認められた外国人旅行者が運転していることになります。
ステッカーを見かけたら、エリア全体を警戒すべき
しかし「法律により運転が認められていること」と、「日本の交通環境でも運転できる技量を持っていること」は別問題です。そのため、レンタカー会社はステッカーにより、周囲のドライバーに注意を促しているわけです。
では、自分がクルマを運転していて、これらのステッカーが貼られたレンタカーを目にしたとき、どうすればいいでしょうか。
まず重要なのが、急ブレーキや急な方向転換に備え、十分な車間をとることです。
私たちが知らない土地で運転するのと同様に、日本で運転する外国人旅行者も、その日本の道路に詳しいわけではなく、また言語の問題も含め、道路標識や案内看板への理解不足は避けられません。
最近はスマートフォンのカーナビアプリにより、“地理不案内”へのサポートは充実してきましたが、それでも「標識の意味がわからない」「案内看板の英語表記が近づくまで読めない」といったケースは十分にあります。
加えて海外では「クルマは右側通行」が主流で、多くの外国人旅行者は不慣れな「左側通行&右ハンドル」を強いられます。それだけでも、運転に余裕がなくなることは、容易に想像できます。
駐車場に停めるときも、こうしたステッカー付きのクルマの隣はできるだけ避けたほうがいいでしょう。
日本では「バックして駐車、前進で出発」が主流ですが、アメリカなど土地の広さに恵まれたエリアでは「前進して駐車、バックで出発」が一般的なところも少なくありません。駐車スペースの左右幅、駐車場内通路の幅が狭い日本の駐車場で、バックでの出発に手間取れば、左右のクルマに接触する可能性が高くなります。さらに右側通行の国のドライバーには“慣れない側”になる縦列駐車の場所は、いっそうの注意が必要でしょう。
なお公益財団法人 交通事故総合分析センター(ITARDA)のまとめによると、訪日外国人の「観光・娯楽目的のレンタカーの相対事故率(2014-2018年)」は、日本人の2.5に比べ13.8と相対的に高く、その様態も「出会い頭」「右直」事故の割合が高いことが明らかになっています。これについては、ステッカーの有無の確認で避けることはできません。
外国人旅行者の多い地域でハンドルを握るときは、やはりふだん以上に周囲の状況に目を配り、慎重な運転が求められると考えるべきでしょう。
08/22 08:42
乗りものニュース