「東京メトロで一番混む路線」もう東西線じゃない!? 利用者が“急に激増した”意外な路線とは

東京メトロでは近年、最も混雑する路線が立て続けに入れ替わっています。「東西線が最も混む」という首都圏の“定説”は、どのように覆っているのでしょうか。

東京メトロの混雑率ランキングに異変

 国土交通省 鉄道局都市鉄道政策課は2024年8月、都市部の鉄道における路線・区間別の混雑率を公表しました。今年度は、東京圏136%(昨年度123%)、大阪圏115%(109%)、名古屋圏123%(118%)となり、混雑率が増加しています。その中で、大きな“異変”があった鉄道会社のひとつが、東京メトロです。

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東西線の車両(画像:写真AC)。

 東京メトロで最も混雑する路線は、2021年度まで長らく東西線(木場→門前仲町:128%)でした。ただ、2022年度の1位は南北線(駒込→本駒込:140%)、2023年度は日比谷線(三ノ輪→入谷:162%)となり、立て続けに最も混雑する路線が入れ変わっています。

 日比谷線は朝ラッシュ時の7時50分から8時50分にかけて、7両編成が27本運行されています。輸送力は2万7945人で昨年度と同じですが、輸送人員が3万7726人から4万5271人に増加し、コロナ禍前(2018年度)の4万2754人も上回りました。その結果、混雑率は135%から162%に跳ね上がり、昨年度の4位から一気に順位を上げて1位となった形です。
 
 東京メトロは、この背景について「今年度は日比谷線を含め、全路線において輸送人員が増加しました。これは、社会経済活動の活性化によるものと考えています」(広報部)と話します。

「東京メトロで最も混む路線」となった日比谷線ですが、沿線では複数の再開発プロジェクトが進んでおり、今後も利用者が増えそうです。2023年10月には、虎ノ門ヒルズ駅と一体的に開発された超高層ビル「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」が開業。同年11月にも、神谷町駅が最寄りとなる「麻布台ヒルズ」が開業するなど、大型開発が続いています。

日比谷線の混雑緩和対策どうなる?

 さらに、六本木駅至近の「六本木五丁目西地区」では超大型の再開発が計画されているほか、築地でも築地市場の跡地を対象に、約5万人を収容するスタジアムを中心とした大型複合開発が行われる予定です。
 
 混雑路線として悪名高かった東西線では、南砂町駅のホーム増設、飯田橋~九段下間の折り返し設備整備、茅場町駅のホーム延伸など、混雑緩和を主目的とした大規模改良工事が進められています。また、有楽町線から分岐する豊洲~住吉間が開業すれば、途中の東陽町駅で接続することで旅客が分散され、更なる混雑緩和が見込まれます。

 前年度1位の南北線でも、6両編成から8両編成へ車両の増結が進められていますが、日比谷線では輸送力増強は検討されているのでしょうか。

 東京メトロは、日比谷線の混雑緩和について「今後の利用状況を踏まえ、適切な輸送力の設定を検討していきます」と話します。今後も混雑率が高い状況が続くようであれば、何らかの手が打たれる可能性があります。

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