超重コンクリートがみるみるズラーっ!! これぞ高速道路“工事渋滞の救世主”特殊車両 動きがかなりクセあったw

NEXCO東日本がアメリカから導入した「ロードジッパー」と呼ばれる特殊車両。車線規制を安全かつ自在に変化させるシステムは、老朽化時代の高速道路になくてはならない存在となっていますが、実はかなり“クセの強い”動きをします。

高速道路で展開される「逆ドミノ」 ロードジッパーとは?

 高速道路の老朽化に伴うリニューアル工事が各地で進められるなか、長期の車線規制などによる渋滞も頻発しています。その車線規制を“自在に変化させる”システムとして導入されたのが「ロードジッパー」と呼ばれる特殊車両です。
 
 NEXCO東日本北海道支社が2024年8月7日、そのロードジッパーのデモンストレーションを報道陣向けに公開しました。

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防護柵を移設するロードジッパーのBTM(乗りものニュース編集部撮影)。

 道路の舗装を剥がし、床板にあたる床版(しょうばん)を取り換える作業などの際には、一部車線規制を行って作業区域を確保しなければなりません。ロードジッパーは、その区域を区切るコンクリート防護柵を「走りながら」移設するための車両型の装置です。

 なお、「ロードジッパー」は正式には、このコンクリート防護柵と車両をセットにした総称で、車両自体はBTM(Barrier transfer Machine)と呼ばれます。

 コンクリート防護柵は1個あたり長さ1m、重さ680kg。これを、BTM車体のガイドレーンに取り込むようにして走行すると、車両の下部にあるS字のレールに沿って、防護柵が車両の反対側の車線に整然と移設されていきます。

「8月19日から始まる道央道 江別西IC-岩見沢IC間のリニューアル工事に伴う終日車線規制でロードジッパーを活用します。時間帯に応じて上下線のいずれかを2車線運用とし、1車線規制を柔軟に切り替えながら、交通量の増減に対応します」(NEXCO東日本北海道支社 道路事業部長 池田 修さん)

 従来、車線規制は人がラバーコーンなどを置いて行うものでしたが、このシステムによって交通量に応じた規制切り替えだけでなく、安全性の向上にもつながっているそうです。

 江別西IC-岩見沢IC間のリニューアル工事に伴う終日車線規制は春にも実施されましたが、夏秋の規制に際しては交通量が増加し、時間帯によって渋滞発生が予測されることから、ロードジッパーを適用することになったといいます。

車両がナナメになってるよ!

 BTMは約8km/hで走行しながら、防護柵の移設が可能。デモンストレーションでは、連続して並べられた重いコンクリート製防護柵が、まるで蛇のようにうねり、一瞬にして移設されていきました。

 ただ、このBTMは車両として見ると、ちょっとクセのある動きをします。車体が斜めになったまま走行したり、前後輪が別々の方向に向いて動いたりするようなシーンもありました。

「この車両は両端に運転台があり、前後の車軸とも操舵輪になっています」と池田さん。実際には両方の運転台に作業員が乗り込み、2名1組で動かすものだとか。車両を斜めにするなどして、防護柵を置くラインに応じて位置を調整しているのだそうです。

 BTMは工事を行う本線上まで牽引で搬送し、そこで固定的に設置。両端の運転台を活用し進行方向を変えながら、1日2回の車線切り替えを行います。

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現場は道央道の江別西ICに隣接した日本初のロードジッパー基地。コンクリート防護柵が並ぶ(乗りものニュース編集部撮影)。

 ロードジッパーはアメリカのリンゼイ社が開発し、NEXCO東日本は2016年から導入。いまではNEXCO中日本、西日本も導入し、リニューアル工事になくてはならない存在となっているほか、NEXCO東日本はさらに、日本仕様の「N-Class」と呼ばれるシステムも独自にリンゼイ社と共同開発しています。

 従来型のBTMは幅2.5m、高さ3.6mなのに対し、「N-Class」のBTMは幅1.8m、高さ3.1mと、日本の道路に合わせた仕様。これにより建築限界がシビアなトンネルなどでの適用も可能になったといいます。

【動画】蛇のようにうねるコンクリート柵!これが動く「ロードジッパー」です

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