中央道の地獄「小仏トンネル渋滞」そのまま突っ込むの? 上り線“ここまで延びたら迂回検討”のポイントとは

休日に中央道で東京方面へ帰る際、必ずと言っていいほど遭遇するのが「小仏トンネル」の渋滞です。そのまま突っ込んだ方がよいか、迂回すべきか、迂回するにしてもどのようなルートが有効でしょうか。

小仏渋滞なぜ発生?

 夏のレジャーシーズン。お出かけには「帰路の高速道路の渋滞」の懸念もつきまとうのではないでしょうか。とくに東京を起点とする場合、とりわけ目立つのが、日曜日や連休最終日の午後に発生する、中央自動車道上りの渋滞です。

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中央道上り線、小仏トンネルの渋滞。休日午後は必ずといっていいほど発生する(乗りものニュース編集部撮影)。

 この中央道上りの渋滞は、東京都と神奈川県の境にある「小仏トンネル」が起点となり、山梨県の大月IC付近まで、30kmにわたりつながることもあります。しかも流れは悪く、通過に2時間以上かかることも珍しくありません。

 ではなぜ小仏トンネルを起点に渋滞が発生し、その通過に時間がかかるのでしょうか。それにはいくつもの要因がからんでいます。

 まずは交通容量の不足です。東京から放射状に伸びる各高速道路は、現在そのほとんどが片側3車線で整備されています。しかし中央道のこの小仏トンネルを含む区間だけは、いまだ2車線のままです。

 つぎに長いトンネルの存在です。トンネルに入ると、ドライバーは暗い、視界が悪いなどの心理的な負担から、速度を緩めがちです。さらに小仏トンネルは長い上り坂の先にあり、上り坂で速度が低下し車間が詰まった車列がそのままトンネルに流入します。ここで車速がさらに落ち、それがきっかけで渋滞が発生するのです。

 そしてこの渋滞の通過時間が長くかかる理由が、上野原IC付近での片側3車線から2車線への車線減です。

 小仏トンネルを起点とする渋滞が上野原IC付近に到達すると、3車線で流れてきた車列が流れの悪い2車線にまとめられ、この合流でさらに長い渋滞につながるのです。

 ではこの区間の渋滞を回避し、一般道に迂回して所要時間を短縮することはできるのでしょうか。じつはふたつのポイントに留意することで、それは可能となります。そのポイントとは「国道20号を通らないこと」と「中央道八王子IC以遠に進むときは相模湖ICから中央道に再流入すること」です。

並行国道は行っちゃダメ! でも“一部区間”は違う

 並行する国道20号のこの区間は昔ながらの片側1車線で、多少改良されたものの、基本的には桂川に沿ってくねくね走る一本路で、ところどころで市街地も通過します。

 そのため、中央道の渋滞から逃げたクルマが増えてくると、流れは極端に遅くなり、中央道以上に時間がかかることになるのです。

 ただその一方で、小仏トンネルが渋滞している場合でも、並行する区間(東京・神奈川都県境)の国道20号(大垂水峠)は、くねくねした峠道ながら、流れはそこそこスムーズです。ただし八王子IC以遠に進む場合は、都内に入ってから一般道を走る距離が長く、小仏トンネルを過ぎて渋滞が終わり、スムーズに流れる中央道よりも時間がかかってしまいます。

 そのため相模湖ICから再流入し、小仏トンネルまで、中央道で渋滞を我慢したほうが、結果的に早くなる傾向があります。

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圏央道と中央道が交わる八王子JCT。小仏トンネルを抜けた先(乗りものニュース編集部撮影)。

 では、渋滞の状況に応じた具体的な回避ルートの例について見ていきましょう(文中の所要時間は、休日の午後の交通量を想定した一般的な数値です)。

渋滞区間“そのまま行っちゃえ”パターン

 まず小仏トンネルからの渋滞の最後尾が相模湖ICや藤野PAまでであれば、前記の理由から「そのまま中央道で渋滞を我慢する」が正解となります。

“上野原ICで下りよ”パターン

 さらに渋滞が伸び、最後尾が上野原IC付近にあるときは、上野原ICで中央道を流出しましょう。料金所の先の信号を左折して国道20号とは逆方向に進み、そのまま桂川橋で桂川を南岸に渡り、さらに左折します。そこから川沿いを道なりに走り、最初のT字路(止まれ)を右折し、県道520号に入ります。県道520号を進み、日連大橋の手前を右折、相模湖の上流側にある勝瀬橋を渡ると、相模湖ICは目の前です。この区間の所要時間は約20分です。

“談合坂で下りよ”パターン

 渋滞の最後尾が上野原ICから談合坂SAまで伸びているときは、談合坂SAスマートICで流出し、出口交差点にある「上野原」の方向に左折します。そのまま道なりに進み、下り線の談合坂SAの手前で中央道をくぐり、野田尻宿の先を右折、中央道沿いの道にでます(なおこの区間で中央道の南側を走ることもできますが、道が狭くおすすめできません)。

 さらに2.5kmほど進んで右折し北川橋で中央道を渡り、クランク状に右折、左折して進むと「上野原高校入口」の交差点です。ここを直進すると、先の上野原ICパターンで挙げた桂川橋の左岸側に出るので、以降は同じルートで相模湖ICを目指すことになります。談合坂SAスマートICから相模湖ICまでは、約50分です。

大月まで延びてたら…

 では渋滞がさらに伸び、最後尾が大月ICまで到達している場合はどうでしょうか。

 このときは大月ICで流出、国道139号から県道35号、県道76号のルートがおすすめです。山あいを道なりに走り、相模川の日連大橋の手前で右折してからは、相模湖ICまで同様のルートとなります。遠回りのようですが、大月ICから相模湖ICまで1時間10分ほどで到達可能で、渋滞がひどい場合には1時間以上の短縮も見込めます。

 なお、最終的な目的地が中央道八王子IC以東ではなく、圏央道内回り相模原IC方面の場合は、相模湖ICで中央道に流入せず、一般道を選ぶほうが早くなるケースもあります。

 その一例は、相模湖ICを過ぎて国道20号を東に進み、相模湖駅前交差点から国道412号へ右折したのちに南東へ進み、相模原ICを目指すルートです。

※ ※ ※

 以上、中央道小仏トンネル渋滞の回避ルートをご案内しましたが、各ルートの詳細については、Googleマップなどスマホの地図アプリで確認しましょう。渋滞の状況は刻々と変化します。ここで挙げたルートが必ずしも早いとは限らないことも、ご理解いただければと思います。

 なおこうした渋滞回避ルートの一部には中央線のない「1.5車線相当」の道路も含まれます。ぜひとも安全運転を心がけてください。

 NEXCO中日本では、この区間の渋滞対策として、小仏トンネルの北側に並行する新たなトンネルの建設を進めています。開通の効果で、こうした“抜け道談義”が過去のものとなる日が来ることを、待ち遠しく思います。

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