「暑すぎるのにタクシーがいない!」→ライドシェア集結!? 気温に応じて「ドライバー集まれ」発動の新ルールとは

いわゆる「日本版ライドシェア」で猛暑の移動を乗り切る施策が始まります。適用条件を柔軟に緩和することで、国はタクシー不足を乗り切る構えです。

前々日の「酷暑予報」で、ライドシェア台数を増強

 2024年4月に始まった「日本版ライドシェア」が、輸送力増強に向けたバージョンアップを図っています。スタート時には、雨天に増える利用者に対応した台数拡大が行われていますが、酷暑(気温35度以上)が予想される場合も同様の対応することを決めました。

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タクシー乗り場のイメージ。酷暑の日も捕まりづらいことがある(乗りものニュース編集部撮影)。

 日本版ライドシェアは、利用需要とのバランスを保つために、タクシー台数の不足分をパートタイムのライドシェアで充足することが基本になっています。

 ただ、雨天時には通常の利用が大きく跳ね上がることから、日本版ライドシェアでは一時的な輸送力不足を補う対応が織り込まれていました。8月2日に公表された「日本版ライドシェアの改定」では、この条件に、猛暑の需要増を盛り込むことになりました。

 前々日の朝10時時点の天気予報で気温35度を超える酷暑予報があった場合、35度を超える時間帯とその前後1時間の範囲で、車両使用台数を拡大します。酷暑予報の時間帯が日本版ライドシェア車両の使用可能な時間帯だった場合には、通常使用可能台数の最大の2倍まで。使用できない時間帯の場合はライドシェア車両の最大数まで緩和します。

 日本版ライドシェアは全国17地域で運行がスタートし、そのほか44地域が検討中です。この猛暑対応は、大都市部12地域で実施される予定です。

 制度設計した国土交通省物流・自動車局の旅客課は「酷暑での移動を容易にするために、移動の足不足を解消することを目指す」と話します。

野外ライブなどイベント時はタクシーも「集まれ」可能に

 不定期に開催されるイベント対応についても、詳細な対応が示されました。

 イベントでは、開催時に見込まれる移動需要の増加に対して、まずタクシーの「営業区域外運送制度」と、貸切バス・タクシーの「一時的な乗合旅客運送制度」を活用して対応します。

 貸切バスは旅行ツアーのような特定の旅行者の移動に対応するもので、路線バスのように不特定多数を輸送することはできません。ただ、一時的な乗合旅客運送制度を使うことによって、イベント会場と最寄り駅などをつなぐピストン輸送が可能となり、同様にタクシーも乗合でピストン輸送することで移動需要に対応します。

 また、タクシーの「営業区域外運送制度」は、交通過疎地などを想定して隣接した営業区域がお互いに応援を求めることができる制度ですが、イベント対応時でもこの制度が利用可能であること明記し、利用を促進します。今までこの制度は、ほとんど利用実績がありませんでした。

 さらに、8月からの日本版ライドシェアでも、イベント開催時に需要の増加が見込まれる時間帯、不足車両数の範囲内でライドシェア使用可能台数を拡大します。

 ライドシェア台数の拡大は、イベント主催者または開催地周辺自治体からの要望書が提出された場合に実施されます。来場者数や実施時間があらかじめ予測できるイベントの一時的な移動需要の増加は、この3つの方法で対応します。

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斉藤鉄夫国交相(中島みなみ撮影)。

 斉藤鉄夫国土交通相は8月2日の閣議後会見で、移動需要に対応する一連の制度緩和について、次のように話しました。

「今後の利用さのニーズにあわせた日本版ライドシェアのバージョンアップを進め、移動の足不足の解消、交通空白の解消を目指してまいりたいと決意しております」

 一連の対応は2024年8月5日以降、実施されます。

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