パイロットの安否は? 自衛隊も参加の大演習で戦闘機が墜落 実はイベントで公開してた!?

オーストラリアで開催中の多国籍演習「ピッチ・ブラック2024」で、イタリア軍の戦闘機が墜落しました。その影響で訓練自体はいったんストップしたものの、パイロットが無事だったことなどから訓練は再開。ただ、詳細はまだ不明なようです。

豪州でイタリア軍戦闘機が墜落

 オーストラリア北部の街ダーウィン近郊に2024年7月24日、イタリア空軍所属のEFA2000「ユーロファイター」戦闘機が墜落しました。現場はダーウィンから南に約90マイル(約160km)の場所で、機体こそ失われたものの、パイロットは脱出に成功し、無事オーストラリア軍のヘリコプターによって救出されて、病院に収容されています。

 翌25日にオーストラリア空軍が開いた記者会見での説明では、事故は24日の現地時間午前10時45分に発生。当該機はダーウィン近郊で実施されている多国籍空軍演習「ピッチ・ブラック2024」に参加していた機体で、異常発生を検知したことでパイロットは機外へと脱出、パラシュートで陸地へと降下、ヘリコプターによって救助されたとのこと。なお、脱出からヘリコプターでの救出まで、一連の流れは90分以内に完了したとのハナシでした。

「ピッチ・ブラック2024」は、20か国から140機以上の航空機と4400 名あまりの人員が参加する大規模な国際演習で、日本も航空自衛隊のF-2戦闘機6機と、E-767早期警戒管制機1機を派遣しています。

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ダーウィン基地を離陸するイタリア空軍の「ユーロファイター」。事故を起こした該当機とは異なる機体(布留川 司撮影)。

 今回、墜落事故を起こしたイタリアは空軍の「ユーロファイター」以外に、F-35「ライトニングII」のA型とB型、そして海軍のAV-8「ハリアーII」とF-35Bを空母「カヴール」とともに参加させていました。

 今回、メディア対応にあたったオーストラリア軍の広報担当者は、「演習に参加するパイロットたちは、脱出した場合に備えてオーストラリアの荒野に生息するワニ、蛇、バッファローについての説明を受けており、パイロットはパラシュートで降りる間にそのことについて考える時間があったようです。しかし、幸いにしてパイロットは良好な状態で地面に着地し、我々の救助によって病院に収容することができました。パイロットは傷や打撲がありますが、健康状態は良好です。経過観察の為に一晩入院しましたが、今朝(事故発生の翌日)には退院する予定です」と、説明していました。

イタリア軍戦闘機の来日は大丈夫?

 記者会見には、多くの地元メディアも参加。当然ながら事故原因についても質問がありました。しかし、発生した翌日の会見であるため、調査は現在も継続中であり、オーストラリア軍の広報担当者は、明確な回答について明言を避けていました。

 しかし、当該機は墜落直前まで機体を操縦できたようで、オーストラリア空軍は「高度数千フィートで脱出する際に機体を減速させることができたという情報があり、これは戦闘機の緊急脱出の標準的な手順です。また、パイロットは航空機を建物が密集した地域から離れた場所まで移動させることができました」と説明していました。

 なお、事故調査は継続中であるものの、今回の事故は特定の航空機に起因したものと推測されることから、演習参加機のフライトは事故当日こそ全面的にキャンセルされたものの、参加各国どうしで安全に関する協議と手続きを行い、翌日には演習のための飛行が再開されています。

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事故翌日にダーウィン基地で行われたオーストラリア空軍による記者会見。地元の一般メディアも数多く参加した(布留川 司撮影)。

 ちなみに、「ピッチ・ブラック2024」に参加したイタリア空軍の戦闘機は、8月6日より日本の三沢基地において航空自衛隊との共同訓練「ライジング・サン24」を実施する予定ですが、今回の事故による影響などは不明です。

 ただ、イタリア軍は、事故翌日には派遣した「ユーロファイター」、AV-8「ハリアーII」、F-35「ライトニングII」の飛行再開を決定しており、筆者(布留川 司:ルポライター・カメラマン)が翌日の夕刻に基地内で取材していると、夜間演習のために離陸するイタリア空軍の「ユーロファイター」を目撃することができました。

「ライジング・サン24」に関する事故の影響について、日伊ともに2024年7月26日現在、公式の発表は出ていませんが、オーストラリアでは戦闘機自体の飛行と訓練が再開されたのは間違いないようです。

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