ついにデビュー 阪急初の豪華な「有料座席指定車」 “確実に座りたい”叶えるだけじゃない“配慮”

阪急初の有料座席指定サービス「PRiVACE」がいよいよスタート。コロナ禍以降の着席ニーズに対応する新たなサービスですが、もう一つ、“あらゆる人への配慮”も重要なポイントです。それは、鉄道会社初となる新機軸にも表れています。

“座って移動”を気軽に快適に「PRiVACE」

 2024年7月21日(日)から、阪急電鉄で初となる座席指定サービス「PRiVACE」(プライベース)がスタートしました。阪急電車では異例の「側面に扉がひとつだけ」の同サービス専用車両が、新型車両の2300系や、既存車両の9300系に連結され、京都線の特急として走ります。乗車券のほか500円の座席指定券を購入して利用できるサービスです。

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プライベースのサービスが提供される新型車両2300系(鶴原早恵子撮影)。

 京都線の特急といえば、すでに観光特急「雅洛(がらく)」が走行していますが、こちらには座席指定のサービスはありません。この違いは、それぞれの列車の位置づけから生まれています。

「雅楽」は観光特急として京都らしさを感じてもらう列車です。列車のひとつの編成をまるまる京都らしいデザインに改装した上で、観光ニーズが高い土休日の日中に走行させています。

 一方、プライベースが生まれた背景には、コロナ禍以降に高まってきた「確実に座りたい」という着座ニーズがあります。そこでプライベースは一般の特急編成に組み込む形で、平日の日中でも1時間あたり2本のペースで運行。気軽に利用できるサービスになっています。

 プライベースは座席のデザインやサービスも、乗客の移動時間を快適にすることに重点が置かれています。

 一例がアテンダントの存在です。プライベースにはアテンダントが乗務し、車内での座席指定券の販売や車椅子の乗客の介助、子ども用ポータブルチェア(要予約)の設置などを行います。全員がユニバーサルマナー検定を受け、多様な乗客のニーズに対応できるようにしています。

 一方、乗客の移動時間やプライバシーを尊重するため、アテンダントが積極的に車内を回って何かしらのサービスを行うことはありません。

「ほかの人が気にならない」という神髄

 アテンダントが準備する子ども用ポータブルチェアは、座席に載せるタイプの補助椅子です。障がいの有無にかかわらず使えるもので、鉄道事業者として初めての導入。この点にも、あらゆる乗客が快適に利用できるようにという配慮が感じられます。

 このほかにも、頭部側面まで包み込むような座席背面のデザインや、二人がけ席の間に設けられたパーテーション、座席列ごとに設けられた窓の配置など、他の乗客をいい意味で意識しない工夫が随所に見られます。

 筆者は7月8日に行われた試乗会に参加しましたが、実際に乗ってみると音も他の車両より静かで、ゆったりとくつろぐことができました。担当者は、「すべてのお客様に快適にご利用いただけるようしっかり準備してまいりましたので、楽しく使っていただきたいと思います」と意気込みを語りました。

 阪急電鉄では、今後順次プライベースを増やしていく予定。2025年頃には1時間あたり4~6本に拡大するとしています。

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