新快速「有料座席」の運行区間が“中途半端”なワケ 「青春18きっぷ」では使いにくい? JR西日本に聞いた

京阪神を結ぶJR西日本の「新快速」には、「Aシート」が導入されています。ただ、京都側は野洲駅までの運転となっており、米原駅までは乗り入れません。なぜなのでしょうか。

米原駅まで行かない新快速の「Aシート」車

 京阪神を結ぶJR西日本の「新快速」には、2019年から有料座席サービス「Aシート」が導入されています。ただ、「Aシート」が導入されている列車は6往復と少なく、運行区間も網干・姫路~野洲間にとどまっており、JR東海との境界駅である米原駅などへは乗り入れません。一見すると「中途半端」な運行区間になっているのはなぜでしょうか。

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近畿エリアの新快速で活躍する225系電車(画像:JR西日本)。

「Aシート」は現在、223系・225系電車の一部に導入。12両編成で運行される新快速の9号車に設定されています。リクライニングシート、コンセントや無料Wi-Fiサービスも備えるなど、特急並みの設備となっています。

 座席指定券は840円で、「青春18きっぷ」と併用することも可能。駅ホームに指定席券売機は設置されていないため、JR西日本のインターネット予約サービス「e5489」や、みどりの券売機などから購入する必要があります。
 
 また、「e5489」限定で販売されるチケットレス指定席券は、600円と割安になりますが、こちらは「青春18きっぷ」と併用できないため注意が必要です。

Aシート車が野洲止まりの「3つの要因」

 特急並みのスピード(130km/h)を誇る新快速は、関西圏の通勤・通学、レジャーだけでなく、「青春18きっぷ」での利用価値も高い列車です。新快速の主要な発着駅の一つである米原方面から「Aシート」を利用できれば、名古屋方面から大阪方面へ向かう「青春18きっぷ」利用者も快適に移動することができますが、現在はいったん野洲で乗り継ぐ必要があります。

 JR西日本は、Aシート車が野洲駅までの運転となっている理由について「設定する時間帯の調整や、車内整備作業に要する時間、列車遅延時の対応という3点を鑑み、野洲駅までの運転としています」(近畿統括本部)と話します。
 
 Aシート車は現時点では少数で、車両運用が制限されるほか、全車両が自由席の新快速・快速列車と混在する形になるため、ダイヤが乱れた時の対応が難しく、常に遠方まで直通させるわけにはいかないようです。
 
 またAシート車は現在、夕方の通勤・通学時間帯に京都・大阪方面から神戸方面への有料着席ニーズを重視するダイヤが組まれており、特急「スーパーはくと」や通勤特急「らくラクはりま」を補完する存在ともなっています。

「Aシート」は現状、あくまで通勤時間帯を中心とした関西圏の有料着席ニーズに応えるためのサービスというわけです。

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