ここは本当に貨物駅だったのか!? 「うめきた」に街が出現 消えゆく鉄道の記憶

大阪駅の北側にあった梅田貨物駅の跡地は、「うめきた2期」再開発事業として大規模開発中です。8か月ぶりに空撮すると、ビルと公園が竣工間近となり、この場所が貨物駅であったことが過去のことになりつつありました。

先行街開きまで数か月

 うめきた2期再開発事業は、2013(平成25)年3月に廃止となった梅田貨物駅の跡地を整備し、2020年に着工しています。再開発地区は「グラングリーン大阪」の名称となり、北街区+うめきた公園+南街区と、3つのエリアに分かれた街が誕生します。
 
 先行まち開きは2024年9月。その100日前にあたる5月29日、うめきた公園では芝生広場などが公開されました。全体のまち開きは3年後を予定しています。

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西方向から敷地全体を見る。左端が淀川、その少し手前が阪急電鉄で、梅田貨物線を渡っていたトラス橋が残っている。写真右下に地下から顔を出す梅田貨物線がチラッと写る(2024年5月22日、吉永陽一撮影)。

 一方、梅田貨物駅廃止後も残されていた梅田貨物線は地下化され、JR大阪駅の地下ホームを設置し、2023年3月に利用開始となりました。この地下区間は急勾配のため、安治川口駅へ向かう貨物列車のうち数本は後補機を従えたプシュップル運転となり、大都会を南北に走行する貨物列車が補機付きという、ほかに例のない運行となっています。

 さて、このような鉄道施設の再開発を空撮しながら、筆者(吉永陽一:写真作家)は時々疑問に思うことがあります。鉄道施設だった場所が街となっていく過程を撮り続け、「鉄道の空撮をテーマに撮影しているはずなのだが、ビルや再開発の工事箇所がメインになってきたぞ」と。そう思うほどに、眼下の再開発は鉄道施設だったことが薄れていき、大きな街として再生しているのです。

消えていく鉄道の記憶

 筆者は5月、ヘリコプターでうめきた2期の再開発地域に到達しました。北街区と南街区に分かれた敷地では、それぞれ高層ビルが建設中で、南街区の方が完成に近いように見えました。

 上空から見ると、そこはもう街。ということは、貨物駅であった名残が消えていくことを意味します。長年地上にあった梅田貨物線の線路はとっくに消え、うっすらと細長い土地の空間が廃線跡だと分かる程度でした。

 また、地下化直前にはにぎわった西梅田一番踏切の跡も、どこが踏切だったのか分かりにくくなっていました。梅田貨物駅の東西を結んでいた北梅田地下道も閉鎖となり、地上に仮設歩道ができていました。敷地全体を見渡せばまだまだ地面の茶色が目立ちますが、あっという間に公園と建物が整備されていくことでしょう。

 うめきたは高層ビルだけでなく緑も多いエリアとなって、人々の憩いの場が充実します。

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大阪駅の大屋根を手前に、一足先に開発された「グランフロント大阪」と、建設中のうめきた2期の敷地(2024年5月22日、吉永陽一撮影)。

 うめきた2期「グラングリーン大阪」は、9月の先行まち開き後も、ビルと街並みが整備されて、2027年春にグランドオープンを迎えます。

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