ぜんぶエンジン「ナゾ配置」…なぜ? エンブラエルの「未来の旅客機」が革新設計すぎる! しかも4種類

ブラジルの航空機メーカー、エンブラエルでは新型航空機開発プロジェクト「ENERGIA」の研究を進めています。複数ある開発機はいずれも、プロペラ駆動のエンジンが胴体最後部に備わる「リアエンジン機」です。なぜこの形式ばかりなのでしょうか。

快適性のため?

 ブラジルの航空機メーカー、エンブラエルは2024年現在、新型航空機開発プロジェクト「ENERGIA」を進めています。このプロジェクトでは4つのコンセプトで開発された旅客機がラインナップ予定ですが、いずれもプロペラ機では珍しく、エンジンが胴体最後部に備わる「リアエンジン機」であるという特徴を持ちます。なぜなのでしょうか。

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エンブラエル「ENERGIA」(画像:エンブラエル)。

「ENERGIA」は飛行中のCO2(二酸化炭素)排出量の削減が主眼に掲げられており、4タイプの詳細は以下となっています。

・ENERGIA HYBRID:双発機で、最大9人乗りと30人乗り仕様が公開されている。飛行範囲は500海里(約926km)。燃料(熱)と電気で動くハイブリッドタイプで、従来のジェット燃料「A-1」の場合、現行機と比べ約3割、SAF(持続可能な航空燃料)の場合約9割、CO2排出量を削減できるという。

・ENERGIA H2 FUEL CELL:双発機で、19人乗りと30人乗り仕様が公開されている。飛行範囲は200海里(約370km)以上。水素燃料電池を搭載し、電気推進で動く。CO2排出はゼロで、騒音も従来比70%減をうたう。

・ENERGIA ELECTRIC:9人乗りの単発機で、飛行範囲は200海里(約370km)の短距離モデル。完全な電気推進で、高容量かつ長寿命なバッテリーを開発し搭載予定。CO2排出はゼロで、騒音も従来比80%減をうたう。

・ENERGIA H2 GAS TURBINE:双発機で、35~50人乗り。飛行範囲は350海里~500海里(約650km~約926km)。水素とジェット燃料の2つからガスタービンエンジンを動かし飛ぶ。CO2排出は最大でゼロで、騒音も従来比を60%減うたう。

 そして「リアエンジン機」はジェット機などでは一般的ではあるものの、プロペラ機の場合、まず見られない仕様です。これについて以前、エンブラエルの商用航空事業のCEO(最高経営責任者)アルジャン・マイヤー(Arjan Meijer)氏が新型ターボプロップ機の開発を進めていると公式Twitterに投稿した際、同機も「リア・ターボプロップ」のレイアウトを取り、「従来機よりも高速で、運用コストが低いほか、客室内の騒音を低減できる」とコメントしました。

 今回発表された4タイプの新型機も、このコンセプトを踏襲し、客室の快適性を向上させていると見られます。

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