新型エルフミオ! 普通免許で運転できる小型トラックはドライバー不足対策の決め手になるか?

2024年5月9日~11日にパシフィコ横浜(横浜市)で開催された「ジャパントラックショー2024」にて、いすゞは小型トラック「エルフ」の新しいモデル「エルフミオ」を出展しました。

普通免許でも運転可能な小型トラック 安全装置も充実

 2024年5月9日~11日にパシフィコ横浜(横浜市)で開催された「ジャパントラックショー2024」にて、いすゞは自社の展示ブースで小型トラック「エルフ」の新しいモデル「エルフミオ」を出展しました。 

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「ジャパントラックショー2024」に展示されたいすゞの「エルフミオ」(布留川司撮影)。

「エルフミオ」は、AT限定の普通自動車免許でも運転可能なトラックとして、既存のエルフシリーズとは別の新しいモデルとして2023年に発表されました。

「エルフミオ」の「ミオ」とはいすゞの他の車両でも現行モデルよりも一回り小さいモデルに付けられている名称で、同社の中型バス「エルガ」や「ガーラ」にもそれぞれ「エルガミオ」「ガーラミオ」というモデルが存在しています。

「エルフミオ」が開発された理由は、物流業界における慢性的なドライバー不足や2024年問題に対応するためです。

 2017年3月12日の免許制度改正によって、普通自動車免許(同日以降に取得した場合)で運転できる車両の車両総重量は3.5トン未満とされ、現行の多くの小型トラックを運転することができなくなりました。

 そのため、小型トラックを運転するためには準中型免許を取得する必要があり、新人ドライバーや人材募集にとって大きな障害となったのです。

「エルフミオ」は車両総重量を3.5トン未満に抑え、さらにAT車としたことで、比較的取得しやすいAT限定の普通自動車免許でも運転可能なトラックとなっています。

 さらに初心者ドライバーでも安全な運行ができるようにセーフティー機能も充実しており、ベーシックモデルでは「車線逸脱警報(LDWS)」「ふらつき警報」「先行車発進お知らせ機能」「誤発進抑制機能」「車間距離警報」「直進時プリクラッシュブレーキ」といった機能を標準搭載し、その上のスタンダードモデルでは「ブラインドスポットモニター」と「右左折時プリクラッシュブレーキ」も用意されています。

参考出品で軽量バンの荷台も用意

 メーカー担当者によると「エルフミオ」を市場で販売するのは2024年の夏ごろを予定しているそうです。トラックの荷台部分に装備される架装品は顧客の要望に応じて違ってきますが、会場の展示車両では「エルフミオ」の小型軽量という特性を生かした「軽量バン」という架装品が搭載されていました。

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参考出展された「軽量バン」。車内空間の広さと、荷室の低床面、それに1150kgの最大積載量がポイント(布留川司撮影)。

 この「軽量バン」はトラックでは定番ともいえるコンテナ式の荷台ですが、素材に樹脂パネル「プラパール」や竹集成材などを採用して軽量化。最大積載量は1150kgもあり、収納空間も全長3150mm、全高1895mmと広く確保されています。

 また、荷室床面も低くなっており、配達時の頻繁(ひんぱん)な乗り降りでも疲労を軽減し、荷台とキャブの横幅の段差を抑えたことで取り回しや後方視界も良好で、ドライバーにも優しい配慮がされています。

 今回の「軽量バン」は参考出品とされていますが、会場のメーカー担当者によればこの架装は顧客への提案も今後行っていくそうで「エルフミオ」の特徴を生かした定番の架装品となるかもしれません。

 近年発表される新型トラックでは、2024年問題が注目された結果なのでしょうか、ドライバーへの配慮がひとつのトレンドとなっています。しかし、それらは現在活躍中のドライバーに対するものがほとんどです。「エルフミオ」はそれだけでなく今後のドライバーの人材確保まで見据えた対応をしているといえるでしょう。

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