「自動物流道路」でトラックどれくらい減る? 首相も期待の新インフラ 国交省が需要を試算

一気に現実味を帯びてきました。

日本の道路にベルトコンベアの巨大版? 「自動物流道路」

 国土交通省は2024年5月14日、第3回「自動物流道路に関する検討会」を開催しました。

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物流のイメージ。高速道路空間などを活用した物流専用インフラが構想されている(画像:PIXTA)。

 自動物流道路は、「道路空間を活用した人手によらない新たな物流システム」とされており、日本の高速道路網などに荷物のみを自動運転車両などで運ぶ専用インフラを構築するもの。スイスで計画されている物流専用の地下トンネル網などをモデルに、自動運転専用カートを24時間体制で運行することで、トラック輸送からの転換を図り、道路を走るトラックの数を減らす目的があります。

 2023年に国交省の審議会でアイデアが浮上して以降、急速に検討が進んでおり、4月には岸田文雄首相も夏ごろまでの計画策定を閣僚に指示したほどです。

 今回の検討会では、国土交通省による需要の試算などの結果が報告されました。

 自動物流道路を東京ー大阪間に設定し、沿線8都府県にそれぞれデポ(拠点)を設置する前提で、小口類の農水産品、軽工業品、雑工業品を転換対象として試算したところ、東京―大阪間を通過する物流量の約26%程度が転換対象だそうです。

 これを東京ー大阪間を通過する普通貨物車(大型トラックなど)の交通量に当てはめると、約2万2000~3万台程度が転換対象と想定されるといいます。

 各拠点では、トラックからの荷卸し、荷運搬、カートへの荷積み、そして自動物流道路で運んだ後のカートからの荷卸し、荷運搬、仕分け、トラックへの積み込みといった荷役工程の自動化が想定されています。現在も、それぞれの場面で自動化やロボット化が進んでいるものの、人手よりも時間を要することや、異なる荷物への対応、伝票システムとの連携、さらにそれらシステムの導入コストなどに課題があり、今後、技術開発が必要になるとの見方が示されました。

 荷主事業者として検討会に参加した飲料大手のアサヒグループジャパンからは、「ドライバー不要な輸送手段として工場間輸送等にて活用させていただきたい」との声も。ただし、重量物であっても輸送可能な設計や、標準的なT11型パレット(1100×1100mm)よりも小さいビール運搬などで使用されるT9型パレット(1100×900mm)にも対応してほしい、といった要望がありました。

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