青春18きっぷはここまで使える! 東京から「SL・観光列車・いい車両」にできるだけ乗る旅程を考えてみた

JR全線の普通列車が乗り降り自由な「青春18きっぷ」。実は一部の観光列車にも乗れます。JR東日本の「のってたのしい列車」にできるだけ乗るとしたら、どんな旅程が考えられるでしょうか。

観光列車を利用すると…

 JR在来全線の普通列車 普通車自由席に乗車可能で、乗り降りも自由という「青春18きっぷ」。使用回数は5回で、1人が5日間連続で利用したり、5人グループで日帰り旅行したりもできます。価格は1万2050円(税込)なので、1日2410円以上乗車すれば元が取れます。
 
 新幹線や特急は利用できませんが、快速列車の指定席やグリーン車自由席なら、別途有効な指定席券を買い足して利用できます。実は、SL列車や地域の観光列車には「快速列車」がそれなりにありますから、これらの乗車券類としても使えるのです。

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快速「SLばんえつ物語」。普通車指定席なら、「青春18きっぷ」に指定席券を追加して乗車できる(安藤昌季撮影)。

 2024年春の「青春18きっぷ」の利用期間は4月10日(水)までですが、その期間内に指定席券を追加し、JR東日本の「のってたのしい列車」にどれだけ乗れるでしょうか。乗りものライターである筆者(安藤昌季)が、以下のルールで旅程を考えてみます。

・始発は東京駅
・日帰りと1泊2日のそれぞれを考える
・「のってたのしい列車」にできるだけ乗車する(東京駅発でほかのJRのエリアに行くことは、あまり現実的ではないため)
・指定席やグリーン車のある列車では、そうした設備を利用する
・第3セクター鉄道は、合理的な範囲で使う

 ただ今回、悩ましかったのが、「青春18きっぷ」での観光列車で定番の「SLぐんまみなかみ」や「HIGHRAIL1375」が、4月10日まではほぼ走っていないことです。そのため景色がよい路線を軸に、観光列車「も」使うという旅程に。実行できるのは4月6日(土)と翌7日(日)です。

 では、1泊2日の旅程(土休日)から見ていきます。まずは4月6日(土)午前です。

東京7:42→(普通1529E)→熱海9:31/9:37→(普通433М)→富士10:16/10:22→(普通3629G)→甲府13:19…

信州で「リゾートビューふるさと」へ

 東京駅では午前6時台から駅弁を売っていますので、それを購入します。品川駅からはグリーン車を利用。始発から乗らない理由は、新料金における普通列車のグリーン料金が、51km以上100km以内だとかなり割安になるからです。

 熱海駅近辺はトンネルが多く、車窓はあまり望めませんが、富士駅からの身延線は天気がよければ、富士山の素晴らしい眺望を楽しめます。

 甲府駅では1時間30分の乗り継ぎ時間があるので、改札外でもゆっくりと昼食がとれます。駅のすぐ近くには甲府城もあるので、観光してもよいでしょう。

甲府14:50→(普通439М)→松本16:58/17:23→(快速「リゾートビューふるさと」)→長野18:31…

 続けて甲府駅からは2時間、普通列車に揺られます。トイレはありますが、甲府駅で済ませることをお勧めします。松本駅では、改札外で買い物する程度の時間があります。快速「リゾートビューふるさと」は、特急以上の快適座席に大きな窓を備えた「のってたのしい」列車。指定席料金は840円が別途です。

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快速「リゾートビューふるさと」の車両。姨捨駅にて(安藤昌季撮影)。

長野19:50→(しなの鉄道・普通351М)→妙高高原20:35/20:58→(えちごトキめき鉄道・普通「おかえり上越2号」)→新井21:30/22:18→(えちごトキめき鉄道「おかえり上越3号」)→直江津22:43

 初日の最終旅程です。長野駅では1時間20分あるので、改札外でも夕食をとれます。長野19時50分発はしなの鉄道の区間なので、運賃850円が別途かかります。妙高高原駅からの「おかえり上越2号」にそのまま乗ると、直江津駅には21時47分に着けますが、新井22時18分発の「おかえり上越3号」は特急用車両ですから、1日目の最後が豪華になります。えちごトキめき鉄道区間の運賃は900円です。

磐越西線を経由し福島県へ

 直江津駅周辺で宿泊し、2日目(4月7日)前半の旅程は以下の通りです。

 直江津7:17→(快速3373М)→長岡8:20/9:07→(普通439М)→新津10:00/10:03→(快速「SLばんえつ物語」)→喜多方13:08…

 長岡駅には24時間営業のローソンとセブンイレブンがあるので、朝食を調達できます。新津駅では乗り換え時間が短いので注意が必要です。「SLばんえつ物語」は始発からの乗車なので、売店車に行けば食料や飲料の調達もできます。

 喜多方15:32→(快速「あいづSATONO」)→郡山17:16/17:49→(普通2149М)→新白河18:28/18:32→(普通4142М)→黒磯18:55/19:00→(普通684М)→宇都宮19:52/19:59→(普通1657E)→東京21:51

 喜多方駅では2時間20分ほどあるので、喜多方ラーメンを食べ歩くなど観光もできます。なお「あいづSATONO」へは会津若松駅で乗り継ぐこともできるので、好みの観光でお選びを。

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「青春18きっぷ」の券面(乗りものニュース編集部所蔵)。

 快速「SLばんえつ物語」「あいづSATONO」はそれぞれ指定席料金840円がかかります。「あいづSATONO」は、スマートフォンの事前予約で「利き酒セット」(3300円)や列車限定の「宝の山100th弁当」(1500円)などのグルメも楽しめる、最新の観光列車です。1+2列のボックスシートグリーン席もあり、こちらは2000円で乗車できます。

 なお郡山駅から宇都宮駅までは本数が少ないので、旅程表の通り乗り換えることを推奨します。宇都宮駅からはグリーン車も利用できますが、冒頭で述べたのと同じ理由から、宇都宮→赤羽間もしくは石橋→東京間で乗車した方が、グリーン料金が安く済みます。かかる交通費は2日間で1万1090円(「青春18きっぷ」2回分込み)です。

日帰りだとどんな列車に乗れる?

 では日帰り旅程だとどうなるでしょうか。指定席券が買えれば、3月24日(日)、31日(日)のみEL・SL列車に乗車できます。

 両国7:47→(快速「B.B.BASE佐原・鹿島」)→鹿島神宮10:09/10:42→(鹿島臨海鉄道・普通138D)→水戸11:57/12:05→(普通632М)→友部12:20/12:23→(普通748М)→小山13:24/14:02→(普通454М)→新前橋15:32/15:41→(普通739М)→敷島16:01/16:09→(快速「SL敷島・沼田百周年」〈3月31日運転〉)→高崎17:14/17:33→(普通848М)上野19:21

 もしくは、前橋駅から以下のような移動も考えられます。

 前橋15:32/15:43→(快速「ELレトロぐんま桐生」〈3月24日運転〉)→高崎16:04/16:28→(普通1925E)→東京18:25

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快速「B.B.BASE」の車内(安藤昌季撮影)。

 快速「B.B.BASE」は自転車を載せることもできるユニークな観光列車ですが、個室感のあるボックスシートが魅力でもあります。鹿島臨海鉄道では運賃1400円が別途かかります。

 小山14時02分発(両毛線)以降の旅程は、日にちによって変わります。SLやELが運行されない日は、高崎駅から八高線の気動車でのんびり帰京するのもよいでしょう。交通費は合計5490円(「青春18きっぷ」1回分を含む)です。

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