京葉線「通勤快速」を超える!? JR「通過しまくり快速」5選 恐るべき俊足ランナーたち

2024年3月ダイヤ改正で廃止されるJR京葉線の「通勤快速」は、通過駅がかなり多いことで有名です。JRでこのような「通過しまくり」な快速は、他にどのようなものがあるでしょうか。

数を減らすJRの飛ばしまくり快速

 2024年3月にJRグループのダイヤ改正が実施されます。この発表の中でも特に話題になったのが、JR京葉線の「通勤快速」が無くなるということでした。

 東京駅を出発し、八丁堀と新木場に停まると、次はもう千葉市内の蘇我駅です。葛西臨海公園・舞浜・新浦安・市川塩浜・二俣新町・南船橋・新習志野・幕張豊砂・海浜幕張・検見川浜・稲毛海岸・千葉みなとを通過し、臨海部をひたすら駆け抜ける、まさに「爆走」というべき飛ばしっぷりで、千葉県民の都心直結の足のひとつとなっていました。

 全国のJRでもこのような「通過しまくり」な快速は、いまや希少種です。ほかにどのような“快速”があるのでしょうか。

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京葉線の電車(画像:写真AC)。

●中央線「通勤特快」
 多摩地域から東京都心へのダイレクトアクセスを担うのが、中央線快速の「中央特快」です。しかし朝ラッシュ時にはさらに停車駅の少ない「通勤特快」が4本だけ設定され、三鷹すら通過して国分寺~新宿ノンストップという爆走っぷりです。各駅停車の駅を含めると、武蔵小金井・東小金井・武蔵境・三鷹・吉祥寺・西荻窪・荻窪・阿佐ヶ谷・高円寺・中野・東中野・大久保の12駅を通過していきます。

●新快速(JR琵琶湖線・京都線・神戸線)
 いっぽう、特定の区間をノンストップというより、まんべんなく飛ばしまくるという存在が、関西が誇る「新快速」です。京阪神間の俊足移動に特化し、最高速度130km/hで必要最小限の数の駅に停まることで、ライバルの並行私鉄を圧倒しています。

 京都~大阪では13駅、大阪~三ノ宮では10駅、三ノ宮~明石でも10駅通過と、“ずっと俊足”な新快速。ひとつ下の種別の「快速」もあり、きめ細かな停車と遠近分離を担っているため、新快速は郊外でも安心して飛ばしまくれるというわけです。

約50kmノンストップの快速も!?

●北陸本線「臨時快速」
 2024年3月のダイヤ改正で誕生する「ノンストップ快速」です。滋賀・米原と福井・敦賀のあいだで運行され、途中の駅はまったく停まりません。長浜すら通過し、32分間、じつに45.9kmが無停車。坂田・田村・長浜・虎姫・河毛・高月・木ノ本・余呉・近江塩津・新疋田の10駅を通過します。

 この区間は、京阪神方面から「新快速」が乗り入れてきますが、新快速とは名ばかりに、えっちらおっちらと各駅停車になってしまいます。そこを飛ばしていく臨時快速は、この区間で“真の新快速”と呼べる存在かもしれません。

 この臨時快速、もともと名古屋~米原~敦賀~金沢の移動を担っていた特急「しらさぎ」の名残です。北陸新幹線が敦賀まで延伸開業するのに伴い、特急「しらさぎ」は名古屋~敦賀のシャトル輸送に変化しますが、早朝・深夜は便そのものが廃止されてしまいます。その代わりに設定されるこの「臨時快速」は、毎日運転されるものの、あくまで“臨時”。あまり人が乗っていなければ、廃止される可能性も秘めています。

●快速「マリンライナー」

 かつて山陽本線の岡山・広島地区にも快速が多数設定されていましたが、ダイヤ改正のたびに廃止・縮小。快速「シティライナー」は西条~広島、宮島口~岩国がノンストップという爆走っぷりでしたが、徐々に停車駅が増えています。

 そんな中、瀬戸大橋を越えて岡山~高松をむすぶ快速「マリンライナー」は相変わらずの飛ばしっぷりです。約72kmの運転距離のうち、最速で途中駅が妹尾・茶屋町・児島・坂出のみ。いったん四国に入ると終点までノンストップで、八十場・鴨川・讃岐府中・国分・端岡・鬼無・香西を通過します。

●特快「きたみ」
「駅に停まらず走りまくる」というスケールで圧倒的なのが、北海道の石北本線で走るこの特別快速です。北見~旭川間およそ180kmを走る長距離列車ですが、旭川行きは遠軽~旭川の120kmで停車駅が丸瀬布・白滝・上川・当麻のみ。駅間の走行時間は18分・21分・39分・33分・16分で、都会に当てはめると1駅分で都心から郊外まで走り抜けてしまう感覚です。

 とはいっても、通過駅は全部で12駅のみ。ほとんどが旭川近郊にあって、それ以外は「駅がそもそも存在しない」というのが実情です。かつては生野・新栄野・旧白滝・上白滝・天幕・東雲・将軍山・北日ノ出も通過していましたが、これらは駅そのものが廃止されてしまいました。いまや各駅停車でも、丸瀬布~白滝~上川のわずか2駅間で57kmもあり、北海道の雄大さが実感できるでしょう。

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