鈴木のりたけ氏×ヨシタケシンスケ氏、豪華声優陣の朗読会や謎解きイベントも! 3年目を迎える「BOOK MEETS NEXT」は、全国9都市で開催

 SNSや動画配信サービスなどの普及もあり、読書離れが叫ばれる昨今。2023年度の「国語に関する世論調査」によると、月に1冊も本を読まない人は6割超にものぼるとのことで、読書離れは事実として加速しているようです。

 そんな中、出版・書店業界が一丸となって読書推進に取り組むキャンペーン「BOOK MEETS NEXT」が今年も開催されることが決定。2022年からスタートし3年目となる本キャンペーンの詳細を伝える記者発表会が行われました。

 まずはじめに運営委員長である紀伊國屋書店会長・高井昌史氏が挨拶。「全国一斉にやること、年齢を問わず地元の読者を書店に呼び込むための企画を実行することが大事」とイベントで重視していることを説明した上で、「厳しさが続く書店の現状を、外部から変えてもらうことを待つのではなく業界一丸となって動き本イベントを展開する」と力強く語りました。

 今年の「BOOK MEETS NEXT」は10月26日(土)から11月24日(日)まで。オリジナルブックカバーの配布、総額400万円の図書カードネットギフトが当たる「秋の読者還元祭」など全国の書店での取り組みはもちろん、SNSに指定のハッシュタグをつけて投稿した方を対象にした「#ハッシュタグキャンペーン」なども行われます。

 関連イベントは、東京から福岡まで過去最多の全国9都市で開催。京都では瀬尾まいこ氏と三宅香帆氏、大阪で寺地はるな氏、福岡では津村記久子氏など、作家・著名人によるトークイベントが各地で行われます。他にも山梨ではワインを飲みながら本について語る「ワインと本と作者と」、神戸では、神戸の街の魅力を感じながら楽しめる謎解きイベント「神戸謎解き街歩き」など、地域の特色を生かしたイベントもラインナップ。広島の「BOOK MEETS NEXT in ひろしま」ではプロバスケットボールチーム「ドラゴンフライズ」の選手が推し本を紹介するコーナーが設けられ、名古屋では子どもを対象にした「なごやっ子読書イベント」が実施されるなど、本のイベントならではの広い世代・層へ向けた催しが予定されています。また三重では県立図書館とのコラボイベントも開催予定で、本に携わるすべての人が一丸となってキャンペーンを推進するという意気込みが感じられました。

 特に東京では、ブックウォークというスタンプラリー形式のものからABCラジオ「今村翔吾×山崎怜奈の言って聞かせて」の公開収録などさまざまな形式のイベントが盛りだくさん。豪華声優陣のトーク&朗読が楽しめる「『本』と『声』2024 TOKYO BOOK NIGHT」や作家生活20年目を迎える辻村深月氏の「デビューからこれまで、そしてこれからについて」と題したトークイベント、『大ピンチずかん』の鈴木のりたけ氏と『りんごかもしれない』のヨシタケシンスケ氏という、令和最強の絵本作家のおふたりによる「『絵』と『本』のはなし」など、応募者殺到間違いなしのイベントが多数行われます。

 また、神保町周辺の大学と連携したキャンパスを使ったイベントも新たな取り組みです。

 イベントの一部は予約必須。詳細は公式サイトにアップされているので、ぜひご確認ください。

 会の最後には日本出版インフラセンターが提供したデータにのっとり、無書店自治体(書店がひとつもない自治体)の現状を報告。今年8月の時点で、市から村までの自治体で無書店自治体は27.9%、一書店以下の自治体を含めると47.7%にのぼるとの説明がありました。調査を開始した2022年9月から書店は754軒、つまりひと月に32.7軒減少しているというデータも紹介され、独立系書店など把握し切れていない店舗もあるものの、未だ楽観視できない現状が伝えられました。

 質疑応答のコーナーでは、今回のキャンペーンに図書館と連携した取り組みもあることを受けて、「書店と図書館は言わば競合する間柄。今回のキャンペーンへの参加を依頼する際には難しさもあったのではないか」という質問が。これに対し実行委員長であり出版文化産業振興財団理事長でもある近藤敏貴氏は、「確かに最初は意見のぶつかり合いもありましたが、だんだんと意見がまとまってきました」とした上で、「現在は図書館の在庫を検索すると、同時に書店在庫が表示されるシステムを作っていたりと、連携が進んでいる」と両者による新たな取り組みについても紹介してくれました。

 今年度の特徴として挙げられたのは、昨年まで少なかった子ども、子育て世代向けのイベントが多数行われること。知念実希人氏による本格児童書ミステリ『放課後ミステリクラブ』の店頭キャンペーンやパンどろぼうとの撮影会(山梨)など親子で楽しめる企画が多く予定されています。このように幅広い世代・趣向の人が楽しめるイベントが揃っているので、どんな人でも気になる企画がひとつはあるはず。ぜひ公式サイトで詳細をチェックしてみてください。

文=原智香

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