『近畿地方のある場所について』著者の新作が、またも不穏…。山奥の墓地を訪れた大学生グループを襲った悲劇『口に関するアンケート』

『口に関するアンケート』(ポプラ社)

 2024年9月4日、ホラー作家・背筋氏の最新作『口に関するアンケート』(ポプラ社)が発売された。不気味な表紙と意味深なタイトルが目を引く同作だが、果たしてその内容は……。

 著者の背筋氏は、ホラー小説『近畿地方のある場所について』(KADOKAWA)でデビューした新進気鋭の作家。モキュメンタリー(フェイク・ドキュメンタリー)で紡がれていくリアリティのある構成と巧みな表現が大きな注目を集め、同作は累計20万部のベストセラーを記録した。また宝島社が発行する『このホラーがすごい! 2024年版』では、国内編1位を獲得している。

 そんなホラーシーンの超新星が手掛ける新作『口に関するアンケート』では、ある大学生グループから寄せられた回答音声が書き起こされていく。最初の回答者・村井翔太は、仲間内で行った肝試しの出来事を切り出した。

 彼らは心霊スポットとして有名な房総のO市にある山奥の墓地に向かい、敷地内にある大きな木を目指した。その木はネット掲示板で“呪われた木”と呼ばれており、夜にお墓に埋葬された人の霊が立っているなどとウワサされている。

 一人ずつ順番に木を目指すことになり、村井は恐怖を感じつつも無事に戻ってきた。しかし他の人はそれぞれ“何か”を目撃していた様子。さらにメンバーの一人が翌日から行方不明になり、それから1カ月後に遺体で発見されたと村井は語るのだった――。

 大学生グループを襲った悲劇が語られていく同作。「ポプラ社」の公式YouTubeチャンネルでは、実際に村井の回答音声を聞けるので、興味のある人はぜひチェックしてみてほしい。

 ちなみに『口に関するアンケート』は、文庫本よりひと回り小さいサイズ。ページ数も63Pと短編で読みやすいので、ライトにホラーを楽しみたい人にもオススメだ。

 また同作のリリース前日にあたる9月3日には、背筋氏のもう一つの新作『穢れた聖地巡礼について』も発売された。フリー編集者の小林は心霊スポット突撃系YouTuber・チャンイケこと池田の「オカルトヤンキーch」ファンブック企画を出版社に持ち込むが、同チャンネルの登録者は心許ない。そこで小林と池田は企画内容で勝負するべく、過去に動画で取り上げた心霊スポットの追加取材を行うことに。そして2人はネットなどで集めた情報をもとに、読者が喜びそうな考察をでっちあげていく――。

 両作とも残暑が残る9月を乗り切るにはピッタリの内容。ただ身も心も冷やしすぎると風邪を引いてしまうかもしれないので注意が必要だ。

ジャンルで探す