大阪府・吹田市にある水族館「ニフレル」は「感性に触れる」がコンセプト。「お手洗い」の看板に止まるフクロウが名物

写真を拡大 まるで「何だおまえは!」とワオキツネザルを見上げるビーバー達(C)2015〜2024 George Nobechi
世界に約400ある有料水族館のうち、150近くが日本にあるという。フォトグラファー・野辺地ジョージ氏が撮影する数々の被写体・シリーズの中で、最も古いのが水族館であり、少年時代の思い出をたどる「旅」だ。日本人にとっての水族館とは何なのか…写真と文で繙いていく

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【写真】名物のアナホリフクロウとお手洗いの看板

第1回 コンセプト(ステートメント)はこちら

「感性に触れる」がコンセプト

大阪府吹田市にある「生きたミュージアム」ニフレルは、「感性に触れる」ことをコンセプトにしている。通常の水族館の生息地域別の展示ではなく、「いろにふれる」、「かくれるにふれる」などとユニークなテーマを引用した展示方法を用いている。

「いろにふれる」では人気のカクレクマノミや真っ赤なシロボシアカモエビ、美しい群れを形成するプテラポゴンやマンジュウイシモチなど、鮮やかな熱帯魚が泳いでいる。

施設全体がインタラクティブで、従来の壁に埋め込まれている水槽はほとんどない。ほぼすべての水槽が四方から観覧でき、さまざまな視点を誘う。また、アーティスト・松尾高弘による「WONDER MOMENTS」という光のインスタレーションもユニークな空間を演出している。

写真を拡大 シロボシアカモエビ(C)2015〜2024 George Nobechi

自然界ではありえないような「出会い」

最も興味深かったのは「放し飼い」の動物がいる「うごきにふれる」。自然界ではありえないような「出会い」が可能になる。

例えばアフリカのワオキツネザルの一団が北米のビーバーのエリアに「侵入」し、餌の一部を分け合っていた。1匹のワオキツネザルは、しばらく水槽のガラスの上に居座り、好奇心旺盛な2匹のビーバーが泳いできて、まるで「君は何?」と問いかけている様だった。

そして当館の名物とも言えるワンシーンは、アナホリフクロウが「お手洗い」の看板の上に止まる瞬間だ。面白いと思って撮影したところ、後でショップを通ったら、そこでもその場面をイメージしたグッズが販売されていた。

AI全盛時代、観る側も「写真とは何か?」を問われる写真展「WONDER Mt.FUJI 富士山 ~自然の驚異と感動を未来へ繋ぐ~」はこちらから

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