ノーベル物理学賞、勝又七段「AIが将棋を変えた」 慶大教授は驚き

人工知能を支える脳をまねた「人工ニューラルネットワーク」

 人工知能(AI)の研究がノーベル物理学賞を受賞することになったことに対し、棋士の勝又清和七段は「将棋AIの登場によって、今まで人間が学んできた『経験』『大局観』『形勢判断』といった要素をコンピュータが数値化できるようになった」と語った。

 将棋AIに詳しい勝又七段は、将棋AIにおける機械学習について、受賞が決まったジェフリー・ヒントン教授と同じ米トロント大で研究員を務めた保木邦仁・電通大准教授が2005年に発表した「Bonanza」が始まりだと指摘。「将棋AIの爆発的な進歩が、棋士の将棋を大きく変えた」とした。

 その上で、「Chat(チャット)GPTのような革新的な生成AIが登場したころから、AI技術に関わる方がノーベル賞を受賞することは時間の問題だと思っていた。将棋界はAIの影響が分かりやすく出た世界だが、ノーベル賞受賞となると、根幹を支える技術が社会全体に影響を与えたのだなと実感します」と語った。

 人工知能学会の会長で、慶応大の栗原聡教授は「2人にノーベル賞級の功績があることは誰も疑わないが、AIの分野が受賞するとは思わなかった」と驚いた。「ディープラーニング(深層学習)や生成AI……。いまや科学的な発見や発明にAIが欠かせなくなってきた。ノーベル賞を出さざるを得なくなったのではないか」と話した。

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