衆院選の投票時間繰り上げ、北海道では市町村8割超が実施…立会人も高齢化「拘束時間が長くつらい」

 27日投開票の衆院選で、北海道内179市町村のうち8割以上となる150市町村が原則午後8時までの投票時間を繰り上げることが、道選挙管理委員会のまとめでわかった。立会人や職員の負担軽減や時間外手当の削減が狙いだ。初めて繰り上げを行う自治体は有権者が投票機会を失わないように、時間変更の周知に努めている。

 公職選挙法は投票時間を原則午前7時~午後8時と定めている。特別の事情がある場合、投票所ごとに繰り上げや繰り下げができる。終了時刻については1~4時間の繰り上げが可能だ。道選管のまとめでは、7日時点で150市町村のうち全投票所で実施するのは108市町村で、昨年の知事選より3市町増える。

 繰り上げを実施する江差町は、全9投票所の終了時刻を2時間早め午後6時までとする。町選管によると、国政選挙では開票作業が未明までかかることもあり、職員の翌日勤務に支障が出ていたという。開票作業を始める時間が午後9時半から8時になることで、立会人らの拘束時間が短縮され、職員の時間外手当も抑えられる。

 同町豊川町内会長を務める夏原茂樹さん(68)は「立会人を務める住民も高齢化しており、『拘束時間が長くつらい』という声は聞いていた。時代の流れだろう」と理解を示す。一方、「早く閉まることで投票率が下がることのないよう町には時間変更をきちんと周知してほしい」と注文する。町はホームページや選挙公報に「お知らせ」を折り込むなど周知に努めている。

 繰り上げ投票が広がる要因の一つが、期日前投票の定着だ。深川市は終了時刻を17か所の投票所それぞれで1時間早める。午後6時までとしていた5か所は5時、8時だった12か所は7時となる。昨年の知事選では投票者の98%以上が午後7時前までに投票を済ませていた。

 開始と終了時刻を変更したのは厚岸町。酪農地帯の若松地区集会所では、これまでの午前7時~午後7時から午前9時~午後4時に短縮する。町選管は「朝夕は搾乳の時間で投票に来る人はほぼいなかったので支障はない」とする。

 道選管の担当者は「繰り上げは地域の実情に合わせて市町村が判断している。時間が変更される場合、市町村は住民へ丁寧な周知をお願いしたい」と話す。

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