中露軍機の領空侵犯「危機のはしご上った」 河野克俊元統合幕僚長

河野克俊元統合幕僚長は、産経新聞の取材に対し、ロシア軍の哨戒機による23日の領空侵犯について、8月に中国軍機が領空侵犯したこととあわせ「中露は危機のはしごを一つ上がったと見るべきだ」と指摘した。発言の要旨は以下の通り。

23日に北海道で領空侵犯したロシア軍機は複数人が乗り込む哨戒機であり、自機の位置が分からなかったはずがない。8月に長崎県で領空侵犯した中国軍機も同様で、自衛隊機が武器使用できないのをいいことに、意図的に安易に仕掛けてきているように思える。

ロシアにはウクライナ侵略を行う欧州だけでなく、極東でも軍事的存在感を示す狙いがある。中国はフィリピンに対して一方的な現状変更を迫る南シナ海だけでなく、東シナ海も自らの活動領域であることを既成事実化する思惑がある。

米国は大統領選を控える。現地時間21日には米国で日米、オーストラリア、インドの4カ国によるクアッド首脳会合が開かれていた。日本への行動を通じて欧州や米国を牽制したいのだろう。

今回のような挑発は今後も続くとみられる。中露は「エスカレーション・ラダー(危機のはしご)」を一つ上がったと見るべきだ。政府は「遺憾の意」を示すだけでなく、多国間で共同演習を行うなど実際の軍事的行動で決意を示すことが重要だ。(聞き手 市岡豊大)

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