高市早苗氏の政策文書郵送 自民選管「党員に誤解広まった」「早くルールを作らねば」

自民党総裁選(27日投開票)に立候補した高市早苗経済安全保障担当相(63)が政策リーフレットを全国の党員らに郵送していた問題について、総裁選挙管理委員会(逢沢一郎委員長)は19日、高市氏側に追加処分は行わない方針を決めた。この問題を巡って、高市氏側は総裁選管委が文書郵送の禁止を各議員に通知した9月4日時点で発送を終えていたと主張したのに対し、他陣営は高市氏が党員・党友票で先行しているとの報道を踏まえ、「リーフレットが影響した」などと反発。党執行部が逢沢氏に追加対応を求めていた。

会合後、記者団の取材に応じた逢沢氏は、すでに高市氏に口頭で注意していることを踏まえ「重ねての注意、厳重注意は制度になじまない」と説明した。逢沢氏と記者団の主なやり取りは以下の通り。

逢沢氏「(高市氏を含めて複数の陣営の行為について)総裁公選規程に抵触する恐れがあるとの連絡が選管に寄せられている。オートコール(自動音声による電話作戦)に関して2件、文書などの郵送送付が5件。選管として丁寧に指摘していく」

──高市氏への追加対応は

「11日に高市氏に対し党則に基づき注意している。同じ案件なので、重ねての注意は制度になじまない。対応は考えていない」

逢沢氏「ただ、選挙戦も後半戦で党員・党友投票も佳境を迎える。高市氏の発送した文書がかなり広く全国の党員・党友に届いており、『有権者に誤解を与えている』『誤情報として伝わっている』という指摘が国会議員、全国の県連支部から寄せられている」

「例えば、高市氏のリーフレットが届いた党員が『私が支持する地元の衆院議員、参院議員はA候補を応援していると思ったが、高市氏を応援しているのか』と誤解し、そういう動きが拡大していると報告されている」

「党内の多くから、このままだと、この問題が選挙の公平・公正を損ねるのではないか、総裁選の正当性そのものを毀損することにつながりかねないといった懸念も出ている」

「党員の誤解、誤った情報提供で投票が影響を受けることはあってはならない。選管委員長名で党員・党友宛の声明を本日出すことにした。9候補全て気を付けないといけない」

「郵送情報は断定的でなかった」

──オートコール2件、文書送付5件について選管として注意したのか

中谷元・委員長代行「陣営に『事実ならば注意してほしい』と確認した。オートコールはやっていないという話だった。文書送付については限定的な内容だったので、こういう事実でやっているなら注意してほしいと。(文書送付のうち高市氏の1件を除く4件は)郵送したかどうか断定できる情報ではなかった」

──選管が文書の郵送送付など禁止事項を決めたのは今月3日(適用は4日)。遅いとの認識はないか

中谷氏「選管は8月20日に記者会見し、『とにかくお金をかけないような総裁選にしてほしい。例えば郵送物を全国に発送したりは控えてほしい』という形で要望した」

──徹底されていなかった部分もあるのでは

中谷氏「ただ、それを聞いてやめた陣営もある」

──選管として、ルールの周知徹底が不足していたとの指摘に対しては

逢沢氏「指摘は真摯に受け止める必要があると思う。新しいルールを作り、実効性を確保するということからすると、できるだけ早くルールを作って、公表し、周知徹底の努力をすることに越したことはない。今後の総裁選に、十分生かさねばならない」

「連絡あれば対処の仕方があった」

逢沢氏「ただ、今回の総裁選は、当初から、必要以上のお金をかけないという大きな考え方を、候補者も党員も共有してスタートしたということをもう一回、確認しなければいけないと思う」

「高市氏については、全国の党員・党友に、大半のリーフレットが9日以降に到着していると理解する。11日に高市氏側から経緯を報告してもらったが、『業者に任せていたが、場合によっては9月に入ってから郵送物が届いたところもあるかもしれない』という趣旨の報告だった」

「選管として残念に思うのは、4日に文書の大量発送は控えてもらうということを公式に連絡したわけだから、その段階で『実はこうした政策リポートを発送していて、9月に入ってから、もしくは週明け(9日以降)に届くかもしれない』という相談・連絡があれば、対処の仕方があったと思う。そういうことを連絡してもらえなかったことは、ちょっと残念だった」

「選管と各陣営の意思疎通、あるいは信頼関係など選管側も配慮しながら、ルールをお互い守っていく。あるいは分からないことがあれば、相談をしてもらう関係を十分つくれるよう、努力、配慮していかなければいけない」


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