東京都が全国初のカスハラ防止条例案を提出 来年4月施行目指す、都議会定例会

東京都議会定例会が18日開会し、都は客が従業員らに理不尽な要求をするカスタマーハラスメント(カスハラ)の防止に向けた条例案を提出した。成立すれば来年4月に施行する方針で、カスハラを禁じる全国初の条例。罰則規定を設けないため、実効性が課題となる。

条例案ではカスハラを「客から就業者に対し、業務に関して行われる著しい迷惑行為であって、就業環境を害するもの」と定義。「何人も、あらゆる場においてカスハラを行ってはならない」と明記した。基本理念を定め、都や顧客、就業者、事業者に対し、防止に向けた責務を規定する。

一方で、正当なクレームは業務改善につながるとして「顧客らの権利を不当に侵害しないように留意しなければならない」とした。正当なクレームとの線引きを明確にするため、都はカスハラの具体例を示す指針(ガイドライン)を作成する。

カスハラは顧客らが立場を利用して従業員らに暴言を吐いたり、不当な言いがかりをつけたりする迷惑行為。事業者側にとっては顧客にカスハラと指摘しにくい側面があり、対応が難しいことも多い。

国もカスハラ対策の法制化を目指しているが、都が先んじることになる。小池百合子知事はこの日の所信表明で、条例制定の意義について「社会全体でカスハラを防止する。誰もが等しく豊かな社会生活を営み、働くすべての人が力を存分に発揮できる社会を東京が先頭に立って切り開く」と強調した。

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