「実施していない」自民が否定、真偽不明の党員世論調査出回る 「世論操作」の可能性も

自民党総裁選(27日投開票)を巡り、一部の世論調査報道に真偽不明のデータが含まれていたことがわかった。このデータは自民党本部が党員約2100人に調査したとしているが、党総裁選挙管理委員会の逢沢一郎委員長が「実施したことはなく、今後も予定はない」と文書で否定した。党の世論調査関係者も明確に「していない」と述べており、党内でもデータの出どころなどに関し、さまざまな臆測を呼んでいる。

具体的な数字を羅列

この記事は出版社系のニュースサイトに元全国紙記者で現在はフリージャーナリストの男性が寄稿したもの。総裁選告示日の12日に配信されたが、16日現在では閲覧できなくなっている。

「高市早苗と石破茂に『驚きの数字』」「自民党本部が実施したとされる情勢調査の数字が出回っている」などとして、「石破茂氏34.9%、小泉進次郎氏23.2%、高市早苗氏15.9%」と具体的なデータを提示。「9月8日、党員2126人に実施」などと信憑性の高い書き方をしていた。

ところが、記事が配信された直後から「そもそも党で調査はしていない」との声が上がり始め、14日付けで報道関係者各位に宛てた逢沢委員長名の文書を配布、記事の内容を全面的に否定した。

「党員名簿簡単に扱えない」

党の世論調査関係者は「党員名簿は簡単に扱えるものではなく、このような調査はそもそもできないし、やろうという話も出たことはない。一部陣営が自分の支持者に絞って独自にやることは考えられるが、それだと偏りがでるため意味がない」と話す。

ある自民議員は「党員調査だと偽り、党内や世論を操作しようとした人物がいる可能性もある。ジャーナリストはそのデータにうまく乗せられたのではないか。総裁選はなんでもありだ」と話した。

ジャンルで探す