自民の林幹雄氏が次期衆院選不出馬 千葉県政界に衝撃 後任支部長は公募で選出へ

自民党総裁選の真っ最中の15日、林幹雄元経済産業相(衆院千葉10区選出)の次期衆院選不出馬に、同党千葉県連幹部らは驚きを隠せなかった。10月の次期衆院選も取り沙汰され、時間的な余裕がない中、早急に後任候補となる選挙区支部長選びを迫られる。一方、林氏の不出馬には、最側近として支えた二階俊博元幹事長が先に表明した次期衆院選不出馬が影響しているとの見方がある。

林氏は15日午後、桜田義孝千葉県連会長(衆院比例南関東)ら複数の県連幹部に直接、「そろそろ衆院解散・総選挙がやってくる。これで引退させてもらいたい」と連絡した。一報を受けた県連幹部の一人は「突然のことで驚いた」と明かす。

「県政界の重鎮」

林氏は千葉県議を経て平成5年の衆院選で初当選し、現在10期。同28年に二階氏の幹事長就任と同時に幹事長代理に就任し、二階氏の記者会見や重要会合に臨む際には、必ずといっていいほど林氏がそばに付き添っていた。

千葉県内の自民党関係者は、林氏について「成田空港関係で国との折衝が必要になったときなど、前面に立って調整してもらった。まさに県政界の重鎮だ」と評した。

林氏の次期衆院選不出馬の背景には、二階氏が今年3月、同党派閥の政治資金パーティー収入不記載事件を巡り、次期衆院選の不出馬を表明し、林氏自身も一連の事件に関連し、4月に党役職停止1年の処分を受けた経緯があるようだ。「二階氏の最側近として引き際と判断したのだろう」(自民党選対関係者)との見方がある。

もう一つは選挙時に73歳であれば、比例重複が認められない自民党の定年制ルールがある。77歳の林氏は次期衆院選も比例重複ができず、選挙区単独で臨むことになる。尾を引く不記載事件も重なり、厳しい選挙戦が予想されていた。

今後の焦点は後任選び

今後の焦点は後任選びに移る。同党千葉県連は地元県議らの意向を踏まえつつ、公募の方向で調整を急ぐ。「林氏の(元県議の)長男への世襲はないようだ」(千葉県連幹部)との見方が強く、自民県議は「地元県議や首長らも入った混戦になるだろう」と、複数が名乗りを上げる展開を予想する。

前回衆院選まで選挙区で林氏と競い合ってきた立憲民主党の谷田川元衆院議員(衆院比例南関東)は15日、林氏の不出馬意向について、産経新聞の取材に「突然で驚いた。誰が自民党の後任候補になっても、自分の政策を主張していくだけだ」と語った。

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