斎藤健氏、自民総裁選の推薦人集め「損得考えず動く仲間いる」「顔と中身セットでないと」

自民党総裁選(12日告示、27日投開票)への出馬を目指している斎藤健経済産業相(65)は産経新聞のインタビューに応じた。立候補に必要な20人の総裁選の推薦人集めに苦労しているが、斎藤氏は「損得勘定を考えず、動いてくれる仲間がいる」と強調。経産官僚時代からの知見も生かし、新総裁として、激化する国際競争を勝ち抜くための産業政策に力を注ぎたいと訴えた。

野党時代の記憶が薄れている

──今回の総裁選の意義は

「自民党が国民の信用を取り戻せるかどうかの分かれ道となる。政権交代を目指した野党時代の努力の記憶が薄れつつある。派閥の在り方、党の体質で自民党は変わらねばならない。政策面も論争を通じ『やはり自民党だ』と思ってもらう」

──出馬を目指す動機は

「米国も欧州も中国も韓国も台湾も、巨額の政府資金を個別の産業に投入する時代だ。産業政策そのものの国際競争が始まった。日本がどのような産業政策を講じていくか極めて重要な局面となる。自分が最も危機感を持っている。『いつか』ではなく『今』、総裁にならねばならない」

──総裁選は「選挙の顔」選びなのか

「日本をリードしていく力を持っているのは自民党しかない。勝つための選挙の顔も大事だ。ただ、顔は中身とセットでないと国民に見透かされる」

──20人の推薦人集めの目途はどうか

「どこにも答えていない。ただ、損得勘定を考えず、動いてくれる仲間がいる」

──推薦人候補を引きはがす動きもあるようだ

「自民党の国会議員の最も重要な仕事は何か。政治情勢、経済情勢、国際情勢を踏まえ、首相を選ぶことだ。しがらみがあっても、投じる先は自分で判断すべきではないか」

国際競争勝ち抜く産業政策を

──岸田文雄政権の産業政策の踏襲を掲げている

「久しぶりに経済産業省に戻ったが、勝負していると感じた。洋上風力や次世代太陽光、水素還元製鉄で世界に先駆けて社会実装を目指し、10年間で20兆円規模のGX(グリーントランスフォーメーション)経済移行債を発行し、民間投資を引き出そうとしている。北海道千歳市で次世代半導体の国産化を目指すラピダスへの支援など、半導体王国の復権をかけたプロジェクトも行っている」

──外交面での考えは

「米中対立が深まる中で、米国と連携を深め、同志国間で融通し合うサプライチェーン(供給網)の構築が必要だ。もちろん中国との対話も深める必要がある」

──安定的な皇位継承策をどう考えるか皇室

「絶対に『女系天皇』はダメだ。いくつか理由はあるが、日本人に『女系ではダメだ』という考えは強い。女系天皇が生まれた際、天皇として認めない日本人が生まれかねない。分断につながる」

──日本人拉致問題にどう取り組むか

「日本国民が領土から不法に連れ出され、解決できていないという国家の根幹に関わる問題だ。ただ、簡単に動く話ではない。準備万端整えて機を逃さず動く。常在戦場でやるしかない」

(聞き手 奥原慎平)

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