日韓首脳、第三国からの退避協力で覚書締結を確認 岸田首相「信頼の高まり示す例」

【ソウル=永井大輔】岸田文雄首相は6日、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領とソウルで会談し、第三国に滞在する日韓両国民の保護に関する協力の覚書締結を確認した。紛争など有事の退避を念頭に、チャーター機や車両輸送手段の確保で連携する。日本がこうした相互協力で2国間の文書を交わすのは初めて。首相は会談後、記者団に対し「両国間の信頼の高まりを示す例だ」と意義を強調した。

両国は近年、自国民退避で協力を重ねてきた。昨年4月にはアフリカ北東部スーダンからの邦人退避を韓国が支援し、同年10月のイスラム原理主義組織ハマスとイスラエルの軍事衝突の際には、韓国軍が日本人を、自衛隊が韓国人を、それぞれ空輸で域外に脱出させた。こうした相互協力を覚書で明文化する。

両首脳は、来年の日韓国交正常化60年を前に、幅広い分野での協力を深めることでも一致した。2025年大阪・関西万博も控え、人的交流を加速させるため、両国間の入国手続き円滑化に向けた具体的な取り組みの検討開始を確認した。

北朝鮮情勢でも意見交換。米国との協力強化や、国際社会の諸課題に積極的に連携する重要性を共有した。北朝鮮による拉致問題での協力も確認した。

首相が尹氏と会談するのは今回で12回目。定着した「シャトル外交」を次期政権にも引き継ぎたい考えだ。

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