日豪安保協力「新しい次元に」 2プラス2 多国間連携で中国に対抗

日本、オーストラリア両政府は5日の外務・防衛閣僚協議(2プラス2)で、自衛隊とオーストラリア軍による共同訓練の拡充や指揮統制の連携など防衛協力の強化を打ち出した。日本はオーストラリアを同盟国の米国に次ぐ「準同盟国」と位置付け、連携を深める。米豪のほかインドやフィリピン、韓国など多国間で重層的な防衛協力を構築し、インド太平洋地域で軍事的な威圧を強める中国に対抗する構えだ。

上川陽子外相は協議冒頭、「日豪の安全保障協力はかつてなく広範で強固だ。新しい次元に引き上げる」と強調した。

日豪間では、昨年8月に部隊間の相互往来をスムーズにする「円滑化協定(RAA)」が発効。昨年の日米共同指揮所演習「ヤマサクラ」や今年の同演習「キーン・エッジ」にはオーストラリア軍が初参加した。

日豪が共同訓練を通じ部隊の相互運用性を高めるのは、東・南シナ海で軍事活動を活発化させ、太平洋島嶼(とうしょ)国にも影響力を強める中国を牽制(けんせい)するためだ。2プラス2では、領空侵犯など中国軍による日本周辺での活動に対し「深刻な懸念」を示した。

共同声明では、米海兵隊とオーストラリア軍による共同訓練に陸上自衛隊の離島奪還部隊「水陸機動団」が参加する方向性を示した。日米豪3カ国がそれぞれ保有するF35ステルス戦闘機の相互展開をさらに進めることでも一致した。

自衛隊トップの吉田圭秀統合幕僚長は5日の記者会見で、今後、日米の実動訓練にもオーストラリア軍が加わるとし、「日米豪3カ国(による共同訓練)という流れができつつある」と述べた。

今回の日豪2プラス2では、南シナ海で領有権を巡って中国との摩擦が激化しているフィリピンや韓国との連携強化も議題に上った。日豪韓は今年6月、シンガポールで初の3カ国防衛相会談を実施した。日豪2プラス2の共同声明では「3カ国間対話を強化する」と明記した。

日米豪にインドを加えた協力枠組み「クアッド」も重視する。日本は7月に米国と、8月にインドと相次いで2プラス2を開催。今回の日豪を含め4カ国の連携を確認した。

木原稔防衛相は協議で「日豪が米国とともに実践的な抑止力・対処力を強化する」と述べ、同盟・同志国との防衛協力の重要性を訴えた。(小沢慶太)

ジャンルで探す